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流経柏と日大藤沢はなぜ走れたか。
酷暑のIHを勝ち抜いた2校の共通点。
posted2017/08/07 12:20
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Kyodo News
宮城県で開催されたインターハイ決勝は、2年連続の決勝進出となる流通経済大柏と、初の決勝進出となった日大藤沢との一戦となった。
流通経済大柏は2008年に一度、インターハイを制している。しかし、これは市立船橋との決勝戦当日に、決勝の会場となった埼玉スタジアムが豪雨に見舞われたことで試合開催自体が中止となり、両校優勝での戴冠だった。ちなみにこの時、流通経済大柏と市立船橋の主将を務めていたのはそれぞれ田口泰士(現・名古屋)と中村充孝(現・鹿島)の2人で、両者がともに優勝旗を持つという珍しいシーンがあった。それから8年を経た昨年は市立船橋との“千葉決戦”に敗れ、準優勝に終わっている。
そんな経緯もあり、流通経済大柏は昨年のリベンジ、そして悲願のインターハイ“単独制覇”を果たすというモチベーションに溢れていた。
一方の日大藤沢は、準決勝の市立船橋戦で後半アディショナルタイムに追いつき、PK戦の末に勝利を収め、市立船橋の3年連続決勝進出、2年連続の“千葉決戦”を阻んで勢いに乗っていた。佐藤輝勝監督は「決勝で流通経済大柏とガチンコで出来る経験は非常に大きい。ひるむことなく、真っ向から戦う」と決勝に向けて意気込んでいた。
序盤は積極的な日大藤沢と、カウンターを狙う流経柏。
佐藤監督の言葉通り、決勝は日大藤沢が流通経済大柏にアグレッシブに向かっていく立ち上がりとなった。それに対して、流通経済大柏はプロ注目の2年生センターバック関川郁万を軸に、前半は守備を固める策をとった。3トップへのマークの徹底、前線からの激しいプレス、縦パスへの鋭い寄せ。これによって日大藤沢の攻撃の糸口を断ちつつ、縦に速いショートカウンターを狙った。
だが日大藤沢も2年生ボランチ・梶山かえで、CBコンビの安松元気と竹繁颯音(たけしげ・はやと)の連係がスムーズで、裏を取らせないようにしつつも、セカンドボールに対しての反応も早く、流通経済大柏に自由を与えなかった。