“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
流経柏と日大藤沢はなぜ走れたか。
酷暑のIHを勝ち抜いた2校の共通点。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byKyodo News
posted2017/08/07 12:20
両校優勝の経験はあるが、単独では初となる流通経済大柏。ユアテックスタジアムで歓喜を爆発させた。
「大浴場があったが選手達には“絶対に入るな”と」
明暗こそ分かれたが、この2チームはファイナリストとして高い質を見せた。両チームとも連戦を戦ってきたにも関わらず、走力が最後まで落ちなかったのだ。この運動量の豊富さが、決勝を締まった内容にした最大の要因だった。
この要因には裏付けがあった。それは過酷なインターハイの連戦の中で、選手達を“必要以上に”緩めなかったことにある。
日大藤沢は1回戦から計6試合を戦い抜いた。その中で佐藤監督は1つの決まり事を作っていた。
「宿泊施設が凄く良くて、大浴場もあったのですが、選手達には“絶対に入るな”と言いました。風呂に入って、一度身体を緩めてしまうと、次の戦いで身体が起きてこない。シャワーのみにして、そこからマッサージを入念に受けたり、各自で乳酸を落とすマッサージやストレッチだけは絶対に時間を掛けてやるようにしました」
戦う気持ちを切らさないように、7日間をマネジメントしたのだ。
「クールダウンや練習でも誰も手を抜かなかった」
勝者となった流通経済大柏も同様のアプローチを取っていた。
「オンとオフの切り替えをきちんとすることを意識しました。常に“次の戦いがすぐにある”と頭に置いて、クールダウンや中間日の練習のスプリントなどでも誰も手を抜かなかった。そういう勝負に対する気持ちが今大会は結果を生み出したと思います」とMFの菊地泰智が語ったように、闘争心を高く保ち続けることで、一気に頂点まで駆け上がった。
連戦の最後とは思えないほど、ファイナルの舞台には強度の高い球際とスピード感があった。その戦いを制した流通経済大柏は、王者として相応しいチームだった。