錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
フィジカル強化と勝利で自信回復!
錦織圭が目論む今夏の復活作戦とは?
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山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/07/30 08:00
![フィジカル強化と勝利で自信回復!錦織圭が目論む今夏の復活作戦とは?<Number Web> photograph by Hiromasa Mano](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/3/700/img_033159c3d2519b40c68117f3940f3e3990437.jpg)
最近では世界ランク5位内の常連として戦い続けている錦織。グランドスラムやマスターズは獲れずとも、その戦いぶりだけでも十分に立派である。
昨夏からのハードスケジュール等が錦織を蝕む。
シーズン終盤は、そんな夏の疲れが出てしまったという印象を受けたが、どうもそこから抜け出すチャンスを逃し続け、ケガも重なった。今年の開幕戦のブリスベンで、当時4位のスタン・ワウリンカに勝ったのを最後に、トップ10はおろかトップ20にも勝っていない。
「大事なところを取れないというところで、もどかしさを感じる試合は多い」と錦織自身も認める現状の原因を、メンタルの問題と指摘する声も少なくない。
年間37億円も稼ぐ日本一のアスリート長者には、当然コートで出す結果に大きな責任が伴う。その評価に見合わない負け方が目立てば、多少厳しい批判も受けて当然だろう。
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しかし、こうなるまでには、昨年夏の過密スケジュールと軽い燃え尽き現象、チームで選択した2月の南米遠征の失敗、デビスカップ欠場を巡る騒動など、大小さまざまなプロセスが少なからず影響しているに違いない。
それを、ここにきて本人のメンタルの弱さと結論づけるのは、あまりに一面的ではないだろうか。
「普段何をされても怒らないあれほど温厚な彼が……」
そもそも、リオ五輪でモンフィスに大逆転勝ちし、ニューヨークでアンディ・マレーをフルセットで破った錦織の強さ、特に精神力の強さを皆で称えまくったのは、わずか1年前のことである。
コート上でのラケット破壊などマナーの問題も言われているが、日本男子3人目のツアー優勝でウィンブルドン前に話題を集めた杉田祐一が以前、自身のブログの中でそのことをテーマに書いていた内容が印象的だった。
杉田は錦織の名前を一度も出さないまま『闘争心』について綴りながら、こう続けた。
「普段何をされても怒らないあれほど温厚な彼が、あそこまで無理やりテンションを上げて状態を維持しようとしているということの意味は私は理解していますし、どうにかして踏ん張りたいという強い思いは、私に大きな価値をもたらしてくれます」
「彼」が誰を意味しているのかは明確だ。
たった1人で何時間も戦う同じテニスプレーヤーだからこそ言えること、同年代で昔なじみの友人だからこそ感じることには、多少偏ったところがあるかもしれないが、どんな批判よりも、あるいはどんな擁護よりも、胸に響く主張だった。