錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
フィジカル強化と勝利で自信回復!
錦織圭が目論む今夏の復活作戦とは?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/07/30 08:00
最近では世界ランク5位内の常連として戦い続けている錦織。グランドスラムやマスターズは獲れずとも、その戦いぶりだけでも十分に立派である。
ナダルが語った「自信」についての大事なこと。
自信はフィジカルの充実から生まれるものだと、たとえばラファエル・ナダルがよく言っている。
今年の全豪オープンで約3年ぶりのグランドスラム決勝進出を果たしたときも、ナダルは接戦を勝ちきるために〈自信〉がどれほど重要かを話していた。
「この数カ月、本当にがんばった。試合には出ていなかったけど、すごくいい練習をしてきたから、それを一度試合で発揮できれば、どんどん自信は湧いてくる。今回はそれができたと思う」
とにかく勝ち星が増え、トップクラスの選手も倒していくことが大きな自信を生むもっとも効果的な手段なのだが、あのときのナダルは前年の9月以降を左手首のケガでほとんど棒に振り、迎えた新たなシーズンだった。
しかしそんなナダルを支えたのは練習だ。
ケガのない体で練習をこなすこと、体に不安のない状態で試合に臨むこと、この両方を満たして初めて大きな自信が生まれるとナダルは言う。
錦織のモヤモヤは昨秋から始まっていたのでは?
錦織は今年、相性のいいマイアミで右手首を痛め、クレーシーズンに向けて自信のレベルを上げることができなかった。そして遡れば、モヤモヤしたムードは昨年の秋頃からすでに始まっているように思われる。
昨夏の錦織の〈過剰労働〉とそこで挙げた成果は、今あらためて見返してみても大変なものだ。
トロントでのマスターズ準優勝のあと、オリンピックで銅メダルを獲得し、全米オープンでは2014年の全米準優勝以来グランドスラムの最高成績となるベスト4入りを果たした。
その直後のデビスカップではシングルスこそ若手に任せたが、ダブルスで責任を果たし、ワールドグループ残留のためにチームの支柱にもなった。