福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史がコンフェデで驚いたのは?
チリの“腕”の使い方を日本も盗め。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAFLO
posted2017/07/05 11:30
コンフェデで縦横無尽のプレーを見せたビダルとサンチェス。彼らの情熱とスキルは、チリが世界と伍するためには不可欠な要素なのだ。
練習の冒頭は“ふざけている”感じだったけど……。
もちろん国ごとに文化があるので、全てマネすれば日本も上手くいく、という簡単なものじゃない。それでもあの闘争心や情熱、本能むき出しのプレーは、上のレベルの相手にひるまないためには必要なものなんじゃないかなとも思います。
ちなみに冒頭15分だけでしたけど、チリの前日練習を見る機会にも恵まれました。言葉は悪いかもしれませんけど練習の初めは“ふざけている”感じだったし、現役時代の僕のように何かフワッとしてる選手もいた(笑)。
ただそんなチームが、試合では闘う集団に変われる。練習のどこかのタイミングでスイッチが入っているはずで、メリハリをしっかりつけられるかが大事だなと再確認しました。
相手との体勢を意識すること、腕を上手く使うこと。
そして3つ目の「身体の使い方の上手さ」です。僕は現役時代、技術や運動量では他の選手と差をいつも感じていた。だから「どうすれば、上手く身体を使えるのか」とずっと考えていて、相撲の立ち合いとかも参考にしましたからね。
話を戻しますが、チリの選手からは“なるほど”と感じることが多かったです。
例えばビダルは相手からボールを奪う時、確かに激しくアプローチはするけども、決して汚くはない。そこへのこだわりは世界でもトップレベルなんじゃないかな、と。
メンタル面と同じく、日本人とチリ人では身体の構造が違うという前提はあります。でも参考になるポイントはあって、少し踏み込んで説明すると「自分と相手の体勢を常に意識すること」、「腕を使うこと」が本当に上手かった。
当たり前かもしれませんが、ボールを奪うためには相手の体勢を崩しつつ、自分が優位な姿勢にならないといけない。例えば相手にプレッシャーをかけたとする。ここでむやみやたらに突っ込むのではなく、身体のどちら側に重心がかかっているかを判断して寄せていく。これを意識しているかどうかは、大きな差になるんです。
そして、手や腕の使い方です。もちろん手で相手をつかんだり押したりしたらファールですが、正当に使えば問題ないし、相手より優位に立てる。そういった部分が本当に参考になりましたね。