プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア最凶の悪童がFAを告発?
高給選手とギャンブル中毒問題。
posted2017/07/02 09:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
ジョーイ・バートンと言えば、イングランド・サッカー界の「問題児」として有名だ。好戦的なプレースタイルのMFは、過去に暴行事件で実刑判決を受けたことさえある。そのバートンが“社会問題を提起した男”として脚光を浴びることになった。
ただ、今回も自身の問題行為が裁かれているあたりは相変わらずである。選手の身でありながらサッカー関連の賭博行為に走り、今年4月にFA(イングランドサッカー協会)から1年半に及ぶ選手活動禁止処分を言い渡されたのだ。
FAは最上位のプレミアリーグから8部相当のセミプロリーグに所属する選手、監督、審判員、クラブ職員らを対象に、サッカーに関する賭博行為を一切禁じている。ところがバートンはサッカー以外の競技を含めると2004年から計1260件もの賭博に興じていたのだ。
カントナ、マラドーナよりも長い活動禁止なのか!
ただし、そこはやはりバートン。黙って引き下がろうとはしない。処分期間の長さを不服として異議申し立てを行う意向を表明したところ、それが思わぬ前向きな波紋を呼んだ。
活動禁止処分が解ける頃にバートンが36歳になることを考えれば、FAから事実上の「引退」を言い渡されたも同然である。当の本人も『サンデー・タイムズ』紙上のインタビューでこう語っている。
「観客に飛び蹴りを見舞ったエリック・カントナよりも、ドーピング検査をすっぽかしたリオ・ファーディナンドよりも、ワールドカップでドラッグに手を出したディエゴ・マラドーナよりも長い」
1年半もの処分期間を不当だと訴えたのだ。
それと同時にFAの偽善にも不満を唱えている。FAは選手側が「偽名や第三者、闇の賭け屋」を利用している状況を改善しようとはせず、自らが大手のブックメイカー(賭け屋)とスポンサー契約を結んで「口止め料」までもらっているとまで指摘。世間の冷ややかな視線をFAに向けさせたのだ。