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ラグビーW杯御手洗会長との対話で、
NSBC発起人・池田純が考えたこと。
text by
二瓶仁志(Number編集部)Hitoshi Nihei
photograph byShigeki Yamamoto
posted2017/06/27 17:00
御手洗会長と共に。'19年の日本W杯に向け、ラグビー協会に対し「1人の人間がリーダーシップを取るべき」と語った池田氏。
スポーツを文化するためには、子どもの存在が重要。
――開催地が12カ所(北海道、岩手県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県、大分県、熊本県)あることのメリットと、子どもの重要さについても語られていました。
「日本全国、12カ所で行われる大会というのは珍しいですよね。そしてスポーツを文化として根付かせるためには、子どもの存在が欠かせません。12地域の子どもたちが、ラグビーを身近に感じられるかどうかは、ひとえにマーケティング次第です。
1人の人間がリーダーシップを取り、情報発信、グッズ、スタジアム作り、チーム作り、組織作り、地域との折衝など、すべてを総合的に考えなければならない。子どもたちが興味を持ち、さらにライト層の方々も関心を持つことで、長期的なファンの拡大が望めるはずです」
――W杯まであと2年、という時間についてはどうお考えですか。
「短いですね……。ベイスターズは準備期間に3年を要して、大きく盛り上がったのは4年目からでした。W杯なので一時的なブームになる可能性は高いと思いますが、その熱を地域に根付かせるのがとても大変なのです」
ベイスターズ復活のキッカケとなった、一冊の写真集。
――池田さんにはベイスターズでの経験があります。その中でラグビーにも応用できそうな手法はありますか。
「ベイスターズの時は、『BALLPARK』という写真集を出版しました。その中では、メジャーリーグを中心に70カ所以上のスタジアムやボールパークを視察した経験を踏まえ、街に溶け込み、人々に愛され、日常会話の話題にのぼる、そんな球場とはどんな場所なのかを考えた結果を提示しました。そしてその通りに横浜スタジアムを魅力的にできるよう、改良を続けてきました。ラグビーのスタジアムも、同様に街に溶け込む素敵な場所であるべきです。
また、普段使いできるかっこいいグッズが必要。ベイスターズ時代は、神奈川の子どもたち全員にベイスターズキャップを配りました。2億円弱かかりましたが、それから街中でキャップをかぶってくれる子どもも増え、少しずつ街になじんでいきました。ラグビーでも、その土地ではなぜかみんながラグビーボールを持っている、くらいの状況を作りたい」