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ラグビーW杯御手洗会長との対話で、
NSBC発起人・池田純が考えたこと。
posted2017/06/27 17:00
text by
二瓶仁志(Number編集部)Hitoshi Nihei
photograph by
Shigeki Yamamoto
年間24億円の赤字を抱えた横浜DeNAベイスターズを、5年で黒字化させた前球団社長、「Number Sports Business College(NSBC)」発起人の池田純氏が、4月より日本ラグビー協会特任理事に就任している。
2019年、日本を舞台に開催されるラグビーワールドカップ(W杯)に向け、いかに国内を盛り上げていくことができるのか――Number929号では、W杯組織委員会会長の御手洗冨士夫氏のインタビュー記事を掲載している。その御手洗会長と最近意見交換を行った池田氏に、考えを聞いた。
ラグビーと長く関わってきた方々とは違った視点を。
――まず、日本ラグビー協会特任理事とはどのようなお仕事をされるのでしょうか。
「ラグビー協会に対し、ファン拡大、集客増を目指して助言をする立場です。意思決定権や責任を持っているわけではありませんが、ラグビーと長く関わってきた方々とは違った視点から、いかにラグビーを盛り上げられるかを提案していきたいです。
私が一番に考えているのは、'19年のW杯を一時のブームで終わらせないこと。
大会が盛り上がるのはもちろんですが、ラグビー文化が各地に根付くかどうかを重視しています。
現在、ラグビーには日本代表、サンウルブズ(スーパーラグビー)、トップリーグという3本の大きな柱がある。それらを、チケットの座組から、グッズ製作、マーケティング方法、熱の付け方まで、すべて連動したかたちで考え直していくべきだと思う。
例えば、日本代表戦よりサンウルブズの試合の方がチケット料金が高い、というのは価格設定としてどうかと思います。また、秩父宮ラグビー場は青山にありますが、そこで暮らしている人や働いている人が、ラグビーをつまみにして生活を楽しんでいる感じがあまりない。気軽にラグビーの話を楽しめるライト層の人々に向けたアプローチが必要だと思います」
――御手洗さんは、いずれラグビーをプロ化したいと言っていましたが、池田さんはどうお考えでしょうか。
「私もプロに近い運営をすべきだと考えます。バスケットボールが『B.LEAGUE』を創設し、成功しているように工夫しないと。ただし、日本のラグビーは、名だたる企業の元にチームがあり、選手たちにインテリジェンスがある。野球やサッカーやバスケットとは違った、新しいかたちを作り得るのかもしれません。
具体的にはまだ考えられていませんが、プロ化の目的は、長期的にお客さんに来場してもらうこと。W杯では一時的に海外の人がたくさん来るかもしれないけれど、開催地でラグビー文化が芽生え、育っていくほうが重要です」