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日本代表で唯一の大学生・野口竜司。
JJが名指しで評価した男のラグビー脳。
posted2017/06/28 13:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
チームでたったひとりの大学生は、大舞台にも物怖じしないプレーを見せた。
ラグビー日本代表の野口竜司である。東海大学4年のフルバックは、6月10日のルーマニア戦、17日と24日のアイルランド戦に、ともにスタメン出場した。
17日のアイルランド戦では、後半にチーム初となるトライを奪っている。キャッチミスのほとんどないフィールディングは、3試合を通して高い安定感を示した。背番号15は緊張を感じさせず、それどころか冷静さをアピールしたのだった。
「冷静にプレーできていたかどうかは分かりませんが、チームとしてこういうラグビーをしようというのがクリアになっているのもありますし、周りの選手がどんどん声をかけてくれます。そういうこともあって、気持ち的に楽にプレーできていたんだと思います」
最新の世界ランキングが3位のアイルランドには連敗を喫した。それでも、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、「6月の3試合では若手がステップアップを果たした。ポテンシャルを発揮した」と語り、「とくに」と断りを入れてから最初に野口の名前をあげている。
「キックの判断、精度が勝負を分ける」
野口自身の肌触りはどうだろう。4月、5月に韓国、香港とホーム&アウェイで対戦したアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)を含めた7試合の経験が、彼の口調を滑らかにしていた。
「春のARCから日本代表でやらせていただいて、周りの選手に自分がどういうアプローチをするのか、どういうサポートをしていけばいいのかは、試合を通して分かっていく部分が大きい。そういう意味では、一人ひとりの選手の特徴の理解が、深まっていると思います。それと同時に、自分のなかで課題が明確になっていると感じています。
アイルランドとの第2戦では、チームとしていいディフェンスができていたと思いますが、ひとつのミスでトライされてしまっていた。僕自身はキックの重要性をすごく実感しましたし、そのなかでどういうキックをするのか、それとも、相手がいないからランをするのか。キックの精度も高めていかなければいけないですし、キックを蹴られたときにどういう対応をするのかの判断も、もっともっと上げていかないといけないと感じています」