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柳田将洋をラクにする新セッター。
男子バレー進化の象徴・藤井直伸。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2017/06/15 07:00

柳田将洋をラクにする新セッター。男子バレー進化の象徴・藤井直伸。<Number Web> photograph by AFLO

絶対的な高さでは世界に及ばない日本にとって、ミドルを絡めてトスでブロックを翻弄することは極めて重要。藤井直伸の存在は貴重だ。

「世界で通用する」スパイカーを生かすために。

 返球が乱れても、スピードが武器で東レでもコンビを組む李には「ネットに寄せる速いトス」で相手ブロックが完成する前に打たせ、高さを武器とする山内や出耒田敬に対しては「そのまま真上に上げるトス」で2人の高さを活かす、というふうにスパイカーの特徴によってしっかりトスを使い分けている。

 そうしてクイックが機能しているため、パイプ攻撃(コート中央部分からのバックアタック)も活きるようになった。

 セットカウント3-1で勝利したトルコ戦では、大竹17点、柳田13点、石川、李、山内の3人が12点と、先発出場したスパイカー5人全員が2桁得点を挙げるバランスのよさだった。相手ブロックを分散させていることが、柳田だけでなく、若いスパイカー陣を勢いに乗せている一因だ。

「世界でも通用すると思うプレーヤーが揃っているので、それを生かすも殺すも自分次第だと思っています。ブロックが1枚になるようなシチュエーションをしっかり作っていきたい」と新司令塔は頼もしい。

急激な変化の衝撃を和らげるもう1人のセッター。

 一方でもう1人のセッター・深津英臣は、主将として、また過去3年の失敗と成功を知る司令塔として、影でチームをうまくコントロールしている。

 ブランコーチは攻撃のスピードアップを掲げたが、トスを急に速くすることに対しては不安を感じるスパイカーもいた。以前には速いトスから、ブロックを見てしっかり打ち分けられる高さと間のあるトスに切り替えたことが、2015年ワールドカップの善戦につながったという経験もあった。

 そうした不安を察し、深津は柳田に「どうなの? しっかり打てる方がいいんじゃない?」と声をかけた。

「オミさん(深津)は僕の好きなトスを知っているので。僕は『そっちの方がいいんですけど、でも(速いトスに)トライもしてみたいです』と言うと、『じゃ藤井も混ぜて話そうか』と言ってくれた。今は、これまでよりは少し速めだけど、めちゃくちゃ速いわけじゃないというトスで、2人ともうまく速度をコントロールしてくれています。オミさんは、言えないけど実はこう思ってます、みたいなことを聞いてくれるんですよ」と柳田は感謝する。

 深津は、「僕はあまり速いトスはやりたくなくて。今年も最初は速くしていたけど、スパイカーが打ち切れなかった。最終的には速いトスでやりたいとは言われていますが、今やっても試合にならないレベルだったので、それよりはゆっくりしっかり打ち切った方がいいかなと思って。それでもこれだけの決定率を上げられていますから」と話す。

【次ページ】 ブランコーチの指導の成果が表れるのはこれからだ。

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