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柳田将洋をラクにする新セッター。
男子バレー進化の象徴・藤井直伸。
posted2017/06/15 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO
6月9日~11日、群馬県の高崎アリーナでバレーボール男子のワールドリーグ2017が開催された。国内で行われた今年最初の国際大会で、日本はトルコ、スロベニア、韓国に3連勝。チーム始動前のゴタゴタをものともせず、若手選手たちが躍動し、明るい船出となった。
昨年11月、全日本男子の新監督に内定したばかりの中垣内祐一氏が人身事故を起こした。事故に対する検察処分が決定しないまま日本バレーボール協会は中垣内氏との正式契約を結んだが、新監督は活動を自粛。5月11日の全日本始動にあたっては、フランス出身のフィリップ・ブランコーチが監督代行を務めるという異例のスタートとなった。
しかし集合した選手たちは、そんなことは意に介していなかった。それよりも、フランス代表監督やポーランド代表コーチを務めるなど世界での経験豊富なブラン監督代行がどのような指導をするのか、ということに興味津々だった。
5月27~29日に開催されたイタリアでのベスビオカップでは、イタリアに敗れたがアルゼンチンには勝利し1勝1敗。6月2~4日のスロバキアでのワールドリーグ第1週は1勝2敗。負け越しはしたが、ブラン監督代行は新戦力を積極的に起用し、選手たちは伸び伸びとプレーした。
中垣内監督「ブランのやり方を変えるつもりはない」
新主将の深津英臣はこう振り返る。
「雰囲気はすごくよかった。イタリア出発前の日本での合宿の時から、ブランコーチがメニューを組んでやってくれていましたけど、その練習がすごく充実したものだった。ゲーム形式で点数をつけて競い合わせる中で、チャンスボールの返球の質や、ブロックに跳ばない選手が下がる位置など、ワンプレーワンプレーの細かいところを厳しくつめてくれて、『これをやっていけば強くなるな』という実感がありました」
雰囲気のよさは、日本に留まっていた中垣内監督にも伝わっていた。ようやく監督として指揮を執ることとなったワールドリーグ第2週高崎大会の前日、こう語った。
「選手が新しいフィリップ・ブランのやり方に心地よさ、やりがいを感じ出しているのではないかと思うので、そこを邪魔しないようにと思った。(ブランコーチのやり方を)変えるつもりはありません。彼の知見はやはり特別なものだと私も考えていますので、彼のいいところをどんどんチームに浸透させていくことが重要。それに対して私なりにこれまで学んできたことと、彼のアイデアを合わせたものをどう作っていくかということが私の仕事になろうかと思っています」
その言葉通り、この3連戦、タイム中はブランコーチが円陣の中心に立って指示を出し、中垣内監督は輪の外から見つめた。