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柳田将洋「このままでは埋もれる」。
男子バレーで海外移籍、プロ転向。
posted2017/05/23 11:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kiyoshi Sakamoto
4月24日、男子バレーボール日本代表の柳田将洋がプロに転向し、海外移籍を目指すことを所属チームであるサントリーサンバーズが発表した。移籍先は現在、選定中だという。
「2015年のワールドカップが終わった直後くらいからですか、自分自身が今後バレーを続けていくことを考えたときに“プロになる”という選択肢が浮かんできました。今の状況に不満があるわけではないんですが、プロになることによって、さらにバレーボールに集中できるし、厳しい環境に身を置けると考えました」
男子バレーボール界でプロとして活動する選手は少ない。現在、V・プレミアリーグに所属する男子8チームの選手はそのほとんどが親会社の社員で、プロとして単数年契約を結んでいる選手は僅かである。地域密着型スポーツクラブと謳っているチームでさえも、所属選手の半数近くはクラブとの契約ではなく、スポンサー企業の社員で「チームへの出向」という形式をとっているのが現状だ。
企業スポーツが日本の各競技を支え、強化のために多大な貢献をしてきたのは言うまでもないが、男子バレーボールの取材を進めていると、その恵まれた環境が選手育成の妨げになっている場面を目にすることも多い。セカンドキャリアを保障された状態でも、自分を追いつめて競技に取り組むことができる選手は一握りで、ひとつのチームの中でも選手の意識には大きな差があると感じている。
「1年以上かけて徐々に気持ちが動いた感じです」
そんなバレーボール界にあって、プロ転向と、海外移籍を決めた柳田にはどのような心境の変化があったのだろうか。
「周りのプロの先輩にもいろいろと聞いて、1年以上かけて徐々に気持ちが動いた感じです。バレーボール競技自体をどうしたらもっと盛り上げていけるかということを、これまでも考えてきましたし、これからももっと考えていきたい。そういう部分に時間を使えるのもプロになろうと思った理由のひとつです」