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なでしこ逆襲へ、東京五輪3年計画。
高倉麻子「いつもすべてを賭けて」
posted2017/06/08 07:00
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph by
Tadashi Shirasawa
「なでしこに強くいてほしい」という情熱を胸に、
日本女子サッカー発展のため全身全霊を注ぐ。
Number920号(1月26日発売)掲載の記事を全文掲載します。
昨年の4月になでしこジャパンの監督に就任して、周囲からは初の女性監督ということで注目を浴びることもありますが、私自身は、選手時代も指導者としても、初めてという立場は慣れているのであまり意識していません。
ましてや、'11年W杯優勝、'12年ロンドン五輪銀メダル獲得、'15年W杯準優勝など、あれだけの結果を残した佐々木則夫さんの後ですから、いろいろ考えてしまったら、引き受けられなかったでしょうね。やるしかないという覚悟もありましたし、純粋に日本が強くありたい、なでしこに強くいてほしいという気持ちが一番にありました。「大変だね」と人に言われると、「あぁ、大変なんだ」と思う程度ですね。そんな性格ですので、プレッシャーを与えられるくらいで、ちょうどいいのかもしれません。
就任当初の第一印象は「少し雰囲気が緩いかな」。
昨年、就任したばかりの私がチームに抱いた第一印象は、「少し(雰囲気が)緩いかな」というものでした。後々話を聞くと、リオ五輪の切符を逃した後だったことも関係し、選手たちは心の行き場を失い、極力明るく振舞っていたようです。しかし、そこは誤魔化さずやるべきで、むしろ悩むくらいでもいいと考えていました。
すでに新生なでしこジャパンは始動していますが、合宿を2度行っているとはいえ、国際親善試合がアメリカ代表との2試合とスウェーデン代表の計3試合。まだまだスタートしたばかりです。選手たちには、あらかじめ、「すべてゼロから」ということを伝えています。'17年は多くの代表戦を計画していますが、試合でしか得られないものもありますし、その中で選手をしっかり観察していきたいと考えています。
W杯や五輪を経験した選手を呼んでいますが、どの選手にも絶対的な存在という決めつけはしていません。そのあたりは、選手たちの変化を見逃さず、今後見極めていければと考えています。大枠は変わりませんが、その中で選手たちがやりやすい戦術も探していかなくてはならないでしょう。