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なでしこ逆襲へ、東京五輪3年計画。
高倉麻子「いつもすべてを賭けて」 

text by

日々野真理

日々野真理Mari Hibino

PROFILE

photograph byTadashi Shirasawa

posted2017/06/08 07:00

なでしこ逆襲へ、東京五輪3年計画。高倉麻子「いつもすべてを賭けて」<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

常に試されているのを「楽しめる」メンタリティーを。

 私もコーチも、「ずっと見ているから」と言う声がけを就任以来続けています。選手にとっては「試されている」という言葉が正しいかもしれません。ただ、代表はそれくらい緊張感のある場所。多くのプレッシャーに勝っていく中で代表に選ばれ続け、さらにはレギュラーの座を勝ち取っていくものです。

 東京五輪で金メダルを獲るといった、想像を超える重圧がかかる状況を考えれば、ずっと見られている、試されているということだけで潰されてしまうようであれば、その先には進めません。むしろ、それを「楽しい」と感じるくらいのメンタリティーの持ち主でなければ難しいでしょう。いろんなタイプの選手がいて、それぞれが抱える思いもあるでしょうが、「自分はここでやっていくんだ」という強い気持ちがある選手以外は残っていけないし、その想いのない選手は代表では戦えません。それくらいの厳しさを私自身は持っているつもりです。

陰で文句や意義を言うなら正面から言い合う方がいい。

 選手はもっと自己主張もするべきだと考えています。チームが進もうとしている方向の中で、自分がチームのために何をやれるのかということをしっかり考えての意見ならば主張も大歓迎です。ただ、そこではき違えてはいけないのが、チームの方向性の中で自己主張をするのと、自分勝手にものを言うことは違うということ。監督という立場としては、その違いを見極めることも大切な仕事です。

 もし、それぞれのやり方に、疑問や違和感があって、陰で文句や異議が出るくらいならば、正面から言い合うくらいの方がいい。良いものは残るでしょうし、そうでないものは淘汰されると思います。順風満帆な道のりを歩むよりも、多少の衝突や喧嘩もあったうえで、チームが同じ目標に向かう方が、「雨降って地固まる」。より強固な関係を築くことができます。選手と私たちスタッフとでそういうチームを構築していきたいです。

【次ページ】 準優勝でも「まぁよかったね」程度の祝福という現実。

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