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J1最下位の崖っぷちでも“攻めろ”。
大宮残留は伊藤彰新監督に託した!
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/06/07 11:00
大宮はこれまで何度も終盤戦で勝ち点を積み上げ、J1残留を成し遂げた実績がある。伊藤監督は攻めることでその再現を狙う。
21試合で勝ち点「29」を積み上げる必要がある。
J1リーグ戦で2勝1分10敗の最下位に沈むなかで、コーチから昇格した新監督はJ1残留ラインを勝点36に設定した。就任時点の勝点は「7」だったので、残り21試合で「29」を積み上げる必要がある。8勝5分8敗の成績が目安だ。
J2降格ゾーンのチームを新たに率いることとなった監督は、ディフェンスの整備から着手するケースが多い。失点を減らさなければ、勝利はもちろん引き分けるのも難しいからだ。
伊藤監督は違う。「どちらかと言えば、守備よりも攻撃からという意識です。失点ゼロで抑えることは意識させますが、残留を目ざしながら攻撃的なサッカーを構築していきたい」と話す。
少なくとも五分の成績を残すために、システムの変更に乗り出した。渋谷前監督が基本とした4-4-2ではなく、4-3-3を採用している。
グアルディオラの影響を受け、ボール保持率を高める。
ペップ・グアルディオラの影響を受ける伊藤監督は、育成年代のチームを率いていた当時から4-3-3を用いていた。ボール保持率を高め、攻撃に人数をかけ、ゲームを支配するスタイルで、トップチームを再建しようとしている。
アルディージャには、現役の日本代表がいない。タレント集団と呼ばれるようなチームでもない。ロシアW杯の予備登録メンバーとなる90数名のリストにも、アタッカーの江坂任が選ばれているだけである。
国際舞台で活躍する「個」を持たない一方で、アルディージャにはポリバレントなタイプが揃う。複数ポジションに対応する選手がズラリと並ぶ。戦術的な柔軟性が求められるシステムと保有戦力に、隔たりがないのである。4-1-4-1にも3-4-3にもなる可変性を、選手たちは短期間でスムーズに消化している。