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J1最下位の崖っぷちでも“攻めろ”。
大宮残留は伊藤彰新監督に託した!
posted2017/06/07 11:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
J1残留のミッションを託されたのは、とっておきの人材である。
大宮アルディージャの伊藤彰新監督だ。ジュビロ磐田の名波浩監督、鹿島アントラーズの大岩剛監督と同学年の1972年生まれである。
現役時代の伊藤監督は、独特な感性を持つ攻撃的MFとして知られた。埼玉の強豪として知られていた武南高校から国士舘大学へ進み、全国から選りすぐりの人材が集まるチームで1年生から公式戦に出場していった。
大学のレギュラークラスはほとんどJリーガーとなったが、伊藤は社員選手として富士通でプレーする。チーム名が川崎フロンターレとなっても立場を変えることはなく、1999年にはプロ契約の選手に混じってフロンターレのJ1昇格に貢献した。
アルディージャの元選手が指揮官を務めるのは史上初。
トリッキーなプレースタイルで決定的な仕事をするアタッカーは、2002年の大宮アルディージャ移籍後にプロフェッショナルとなり、サガン鳥栖と徳島ヴォルティスでもプレーした。J1リーグでプレーしたのは1シーズンのみだったが、J2やJFLを含めると400試合を超える公式戦に出場した。'95年から'06年まで実働12年のキャリアで、所属したチームに確かな足跡を残している。
引退後は古巣であり地元でもあるアルディージャの育成組織で、指導者として実績を積み上げていく。ジュニアユースとユースの監督を務めた'11年から'15年の間に、全国大会で3度のファイナル進出を果たした。
2016年からはトップチームのコーチとなり、迎えた2シーズン目にチームの最前線に立つ。シーズン開幕からJ2降格ゾーンに沈む成績不振を受けて、5月28日に渋谷洋樹監督が解任される。アルディージャとして17人目となる指揮官に、伊藤が指名されたのだった。かつての選手が監督を務めるのは、クラブ史上初めてのこととなる。