濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「路上プロレス in 東京ドーム」大成功。
DDTがブチ上げた“本気のデタラメさ”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2017/06/04 08:00
ホームベース上で鈴木みのるのパイルドライバーを食らい敗れた高木三四郎だが、大会の内容的には大成功だった。
次は無人島でプロレス!? 彼らの本気はきっと伝わる。
「これがDDT20周年の集大成だよ!」と高木は言った。
「でも、これで終わりじゃない」とも。
次にドームでやる時には観客を入れたい。同時に、路上プロレスも発展させたい。ドームのビジョンで発表されたのは「無人島路上プロレス」開催であった。
これも無観客試合だろうか。そうだとしても、動画配信の優良なコンテンツになることは確実だ。その場に観客がいなくても、DDTの選手たちはカメラの向こうにいる(であろう)見えないファンに向けて全力を出せる。それは東京ドームではっきり分かった。
もしかしたら、DDTはずっとそうだったのではないか。
空気人形ヨシヒコ、『マッスル』におけるスローモーション(実際に選手がゆっくり動く)、それにもちろん路上プロレス。こんなことやったらたぶん怒られる。でも、喜んでくれる人も絶対にいる。
そう信じて“プロレス界”の壁の向こう側にラブレターを送り続け、それを受け取った人たちが後楽園ホールも両国国技館も日本武道館もさいたまスーパーアリーナも埋めた。RCサクセションの『わかってもらえるさ』ではないが、気の合う友だちはたくさんいたのだ。
無人島からの手紙も、きっとたくさんの人に届く。
ボトルに入れて流すわけではないし、メッセージの内容はやっぱりデタラメかもしれないけれど、本気というのは伝わるものだ。