ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
育成年代ゆえの粗さと勝負の丁寧さ。
日本がW杯初戦で見せた2つの顔。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byKenzaburo Matsuoka
posted2017/05/22 17:30
堂安律、小川航基、久保建英という所属クラブで出場機会を得ている選手が結果を出した。世界は日本の攻撃に驚いたに違いない。
久保「次はもうちょっと前でボールを受けて」
重要な初戦で最高の勝利。しかしまだまだ試合は続く。日本が勝利するためにすべきプレーがあらためて浮き彫りになったが、ここからの相手はさらに強敵。再び、粗雑さが表れることだってある。
「チームが結果を残すことが大事ですし、自分が結果を出すことも大事だと思っています。今日は両方を出せて良かったと思いますけど、ただ違う見方をすると、今日はちょっと下がってボールを受けた分、シュートまで自分では行けてなかったので。次はもうちょっと前でボールを受けて、相手を崩して。初戦の出来としてはまずまずでしたけど、次の相手は手強いと思うので、自分からシュートに積極的に行きたいと思います」
最年少の久保は自分のプレーを引き合いに出しながら、勝って兜の緒を締める意識を見せた。
連係に加えて、さらにゴールに向けた迫力を出せるか。ウルグアイとイタリアは世界的にも堅守が武器。球際の争いも含めて、丁寧さに強靭さも問われる戦いとなる。
育成と勝負。この世代は、その針が勝負に傾いていく時期。過去に日本が同大会で最高成績を収めたのは、1999年ナイジェリア大会(当時はワールドユースという名称)。思えば、小野伸二、本山雅志、高原直泰ら、“ゴールデンエイジ”が最大の武器にしていたのが、技術と連係を重ねた丁寧さだった。
勝つために、丁寧に戦う。大会を通して、若き日本代表がどこまでこの武器を貫けるかが楽しみである。