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円盤投の世界記録は女子>男子!?
陸上記録“白紙案”とドーピング。
posted2017/05/14 07:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
4月28日から4月30日にかけて、欧州陸上競技連盟の理事会が行なわれ、その後になされた提言が賛否両論、激しい議論を呼んでいる。
世界記録の公認基準を見直そうというものだ。
その提案の中では、ドーピングに関して定められた厳しいチェックをクリアした記録のみを公認とするとしている。これについては国際陸上競技連盟のセバスチャン・コー会長ら要職にある人々も賛成の意を示しており、採用される可能性は決して小さくない。
どれだけドーピング対策を施しても一向に違反者が減ることはなく、最近では北京五輪やロンドン五輪など、すでに認められていた成績と記録が取り消しとなるケースも少なくはない。だからこそ、揺らいだままの陸上記録の信頼性を取り戻そうという意図がそこにある。
マラソンのラドクリフらから批判が相次いでいる。
ただこれほどまでに大きなトピックとなったのは、採用されたと仮定すると、記録についてあまりにも大きな変化が生まれてしまうからだ。
それはBBCその他各メディアも大きく報じているが、2005年より前の世界記録、さらにはヨーロッパ記録は白紙になる可能性がある点である。理由は国際陸上競技連盟が保管している血液と尿のサンプルが2005年以降のものであることからだとしている。
これを受けて2003年にマラソン女子の世界記録を樹立したポーラ・ラドクリフをはじめ、記録が白紙とされる可能性があるアスリートからの批判が相次いでいる。その一方で改革の必要性を訴え支持する選手もいる。両方の主張の激しさもまた、提案自体の衝撃を物語っていて、何より陸上記録のありようが問われている。