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都倉賢と福森晃斗、札幌で開花中。
不遇を知る憲剛も「嬉しいよね」。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/28 11:35
都倉の身体能力はJ1でも通用することが証明された。彼を活かす役割を引き受けているのが元フロンターレ組の福森なのも興味深い。
「川崎時代の都倉はガチムチじゃなくてプリンス」
「トク(都倉賢)とは(川崎時代の)サテライトリーグに一緒に出ていましたよ」と語るのは、今も川崎でプレーする田坂祐介である。ウインガーのポジションだった田坂は、ヘディングが持ち味である都倉とのこんなエピソードを明かす。
「普通の人では届かないような高さのセンタリングを上げてくれと言われましたね(笑)。それでボールに届いてしまうし、(ヘディングで)叩けるんですよ。自分もそのためのクロスの練習もしていました。もともと体格や身体能力は日本人にはないものがあったし、気持ちも強かった。どこにポジションを取ったら点を取れるか。J2で点を取り続けて、今はそれが自分の中でも固まってきたのだと思いますよ」
クラブのレジェンドである中村憲剛にも聞くと、概ね同様の見解だった。
「ユースから上がって入ってきたときは、大きいし、荒削りだなという印象かな。それにあんなにガチムチじゃなくて、プリンスみたいな感じだった。いろんな場所を転々として、30過ぎて成長したんだなと」
当時の福森はロングキックを生かす展開が少なかった。
同じことは福森にも当てはまるだろう。
風間八宏監督のもとでプレーしていた川崎時代は、前線にいたアタッカー陣が大久保嘉人やレナトだったこともあり、福森の持ち味であるロングキックが生きる展開は少なかった。その後、札幌に移籍し、自分の武器を生かす都倉というパートナーを得て、選手として成長を遂げたと言えるだろう。
その意味で、第7節の北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレは注目の一戦だった。
下馬評では川崎有利とはいえ、高い勝率を誇る札幌ドームに乗り込むゲームということで、川崎の選手たちも気を引き締めていた。
実は札幌には、都倉と福森だけではなく、横山知伸、田中雄大、そして稲本潤一と川崎に在籍経験のある選手が現在5人所属している。離脱中の稲本を除く4人はレギュラーとして出場しているが、とりわけ警戒していたのは、やはり福森と都倉ラインだった。