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都倉賢と福森晃斗、札幌で開花中。
不遇を知る憲剛も「嬉しいよね」。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/28 11:35
都倉の身体能力はJ1でも通用することが証明された。彼を活かす役割を引き受けているのが元フロンターレ組の福森なのも興味深い。
高い打点、長い滞空時間のヘディングが突き刺さる。
試合が始まると、奈良は定位置の右ではなく、3バックの左でスタートしている。これは福森からの対角線のロングフィードを、右サイドで流れて競り合うことの多い都倉に、空中戦と対人プレーに強さがある奈良を同サイドでぶつけるという狙いがあったのだろう。
0-0で折り返した後半、鬼木監督は最終ラインの並びを変更した。左ウイングバックだった車屋紳太郎を左CBに落とし、中央は谷口彰悟、そして奈良竜樹を右CBに配置した。一進一退の攻防が続く中、74分に小林悠がPKを決めて川崎が先制に成功した。
しかしその後は、ロングボールを中心に圧力をかける札幌の攻撃を川崎守備陣が丹念に跳ね返していく展開となった。
すると82分、札幌がFKからのセカンドボールを左サイドの荒野拓馬がゴール前にクロス。それをファーサイドで待っていたのは都倉。競り合っていたのは車屋だったが、都倉の打点の高さと滞空時間の長さに間合いを外されたような格好になった。頭上から振り下ろされたヘディングは、GKチョン・ソンリョンの手を弾いてゴールネットを揺らした。
最後はやはり都倉だった。
「トクさんを試合から消せていた」はずだったが。
「試合を通じては、クロスに対してや左サイドのキックのうまい選手によく対応できていたと思います。ただ失点シーンはフリーでクロスを上げられた。むこうの形で失点したのは悔しいですね。トクさんのことは試合から消せていたと思っていたので、あの1本に泣いた感じはします」
1-1で終わった試合後の奈良竜樹の談話だ。
「たとえ試合中に89分間消えていても1分で仕事をするのがストライカー」とはよく言ったもので、この試合での都倉はそんな存在だったと言えるのかもしれない。