話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「リオ以外何もなかった」昨季。
原川力、自分も鳥栖も改革する。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/08 07:00
すでに今季は直接FKで2得点を決めるなど、原川は個人技術の高さは発揮している。異彩を放つ鳥栖の新たなエッセンスとなれるか。
「リードしている時の試合運びがヘタくそなんです」
「1-0で勝っているのにベタ引きしてしまうんです。しかも、引いた状態になると単純なクリアーが増えて、みんなボールを受けたがらない。もっとボールをもらいにいかないといけないし、そこでひとつつなぐだけで展開が変わる。そういうことができるようになるとボールをコントロールできるようになるし、2点目を取れるチャンスが生まれてくるかなと思うんです」
原川の言葉通り、鳥栖は後半、勝っている状態で自らDFラインを下げていった。相手のミスが多く、付け入る隙は十分にあったし、追加点を奪えるチャンスもあった。しかし、多くの選手は後ろに意識が向かい、原川が「顔を出せ」とパスを受けるように要求しても引っ込み思案なプレーに終始してしまうのだ。
「開幕戦のレイソル戦も広島戦もそうですけど、リードしている時の試合運びがヘタくそなんです。守備だけにならないようにもっとゆっくりボールを回していくべきだと思います。ボールを持ちながら試合をコントロールできるようにならないと勝てないし、相手が嫌がるチームになれない」
周囲を使いながら攻撃参加していくタイプだけに。
原川が望むサッカーができるようになるには、もう少し時間がかかるだろう。流れの中で「どう戦うべきか」という部分でチーム全体の意思統一ができていないし、鎌田、小野、原川、高橋義希の中盤のユニットは阿吽の呼吸での連携になるにはもっと試合を重ねる必要がある。
個人に目を向ければ、原川自身もまだ周囲と噛み合っていない。なかなかボールが出てこないのもあってか、少し窮屈そうにプレーしている。
「攻撃のところでは自分の特長をどう出していくか、模索しながらやっています。僕は個人で打開するタイプではなく、周囲を使いながらペナルティボックス内に入っていくタイプ。周囲との連携やコミュニケーションが必要になりますし、良くしていかないといけない。そのためにも僕がもっとボールに触れて、落ち着かせるような役割を果たさないといけないと思っています」