ぶら野球BACK NUMBER
西武黄金時代OBの著書が面白い。
辻&伊東が語る清原、広岡、玄米。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byKyodo News
posted2017/04/04 07:30
1994年のオールスター戦での風景(右から、森監督、石毛、清原、辻、伊東)。この年、ついに森監督が西武を勇退。督在任中の9年間で8度のリーグ優勝、6度の日本一を記録した。
「選手と一緒になって戦う監督になるだろう」
本の最後、「おわりに」の中でこんな注目の記述がある。
「もしも、自分が監督だったら、どんなチームを作り、どんな野球を目指すだろうか? 広岡流か、森流か、野村流か、王流か、それとも落合流か?」と自らに問いかける西武の新監督は、'06年WBC日本代表でともに戦った王監督の名前を挙げる。
「絶好のチャンスでヒットが出れば、身を乗り出して声をあげ、絶体絶命のピンチで投手が相手打者をピシャリと抑えれば、ついガッツポーズが出てしまうだろう。もちろん監督となれば、感情を押し殺して冷静に対処する必要があることは分かっているが、私は選手と一緒になって一喜一憂し、選手と一緒になって戦うタイプになるだろうと思っている」
'17年シーズン、辻新監督のガッツポーズにも注目だ。
名捕手の野球人生を自ら振り返った一冊。
【『勝負師 名捕手に宿る常勝のDNA』(伊東勤著/ベースボール・マガジン社/2013年4月30日)】
この辻とともに一時代を築いた名捕手が、ついに今年の冬に野球殿堂入りを果たした伊東勤である。
著書『勝負師 名捕手に宿る常勝のDNA』はいきなり「相まみえるライオンズOB」という一文から始まるファン必読の書き出し。
「彼らと異なるベンチに座り、同一リーグでしのぎを削る日々が来るとは…」なんて感慨深そうな伊東は、「ライオンズ時代の野球をベースに、それぞれがチーム事情に合わせた上でどのような野球にアレンジし、ぶつけ合っていくのか、期待に胸を膨らませています」と高らかに宣言。
'13年春のロッテ監督就任直後に発売された一冊は、監督論というより伊東自身のキャリアを振り返った内容に仕上がっている。