サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
原口が左を守り、久保が右で決める。
そして、全ての中心に今野がいた。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/03/24 11:40
本田圭佑の指定席だった右サイドに定着しつつある久保裕也。ベルギーリーグでも絶好調で、ステップアップが噂されている。
リスクのあるスタメン、さらにシステム変更。
長谷部の負傷離脱が明らかになり、高萩洋次郎もケガで出場不可となった時点で、今野のスタメン抜擢は可能性大となっていた。だが、日本代表でのキャリアには、ほぼ2年の空白期間がある。彼をスタメンで使うことへの不安はあった。
川島の起用もまた、リスクを伴うものだったはずだ。所属先のメスで出場機会に恵まれていないだけでなく、日本代表でも1年近くプレーしていないのである。
しかも、指揮官は大胆なプランを用意する。使い慣れた4-2-3-1のシステムではなく、4-3-3へ変更したのだ。そのうえで、UAEの攻撃のきっかけとなり、仕上げにも力を注ぐオマルを包囲しようとした。
ウイングのひとりがバランスを取ることで2トップのようになり、守備の局面では両ウイングが下がって4-1-4-1のようにもなるこのシステムに、日本がまるで馴染んでいなかったわけではない。
ただ、UAE戦は昨年11月以来のゲームである。チーム結成からの積み上げがあるとはいっても、準備にかけられる絶対的な時間は短い。キャプテンの長谷部も、本田もいない。この日のスタメンによる4-3-3の練度は、決して高くない。
長友、原口、今野の3人でオマルを包囲する。
未知数だったと言ってもいいシステムが個人とチームを輝かせるのだから、サッカーは面白い。34歳になった今野のインサイドハーフ起用は、日本代表に新たな化学反応を起こさせた。
左サイドバックの長友佑都、左ウイングの原口元気、それに今野の3人がオマル包囲網を敷くことで、相手攻撃の芽を摘んでいくのである。
開始4分にはオマルとマッチアップした今野が、力強くボールを奪い取った。長谷部の背番号17を着けた34歳は、「最初は不安だったけど、うまくプレスがハマった」という肌触りとともに、ゲームへ入り込んでいく。