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男子バレーの頂点はサーブの東レ。
「安全に入れていく」からの転換。

posted2017/03/23 08:00

 
男子バレーの頂点はサーブの東レ。「安全に入れていく」からの転換。<Number Web> photograph by Kyodo News

チーム最年長32歳の米山裕太は、試合後、「強いチームが勝つと証明することができた」と誇らしげに話した。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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「選手、スタッフが本当によく耐えてくれました」

 優勝監督インタビューでマイクを向けられた小林敦監督が、涙をこらえようと言葉につまり、声を震わせる。2年前に入れ替え戦まで経験した古豪が、見事復活を遂げた瞬間だった。2016/17 V・プレミアリーグ男子ファイナル。東レアローズ対豊田合成トレフェルサの戦いは、初戦を3-0、2戦目を3-1で東レが勝利し、8年ぶり3度目となる優勝で幕を閉じた。

 今シーズンの東レの戦略は明確だった。サーブで攻める。近年のバレーボールにおいては、ブレイクと呼ばれる「サーブ権を持っている場面での得点」が勝敗を大きく分ける。敗れた豊田合成の古賀幸一郎主将も試合後、「この結果を見て、来シーズンはますますどのチームもサーブ強化を図ってくるでしょう」と語った。今年度のV・プレミアリーグもまた、サーブの重要性が改めて証明される結果となった。

「ミスせず入れていけ」からの転換。

 東レがサーブの強化に着手したのは、小林監督が就任した5年前にさかのぼる。

「サーブの強化は現代のバレーボールでは絶対に必要です。ですから、もちろん監督に就任した当初からずっとサーブの強化に臨んできたのですが、なかなか浸透しませんでした」

 強化の邪魔をしたのは、過去の成功体験だった。小林監督がコーチを務めていた2008/09に優勝した際の東レのサーブ戦略は「ミスをせず入れていけ」。相手の攻撃を、ブロックと東レの持ち味である粘り強いレシーブで防ぎ、自分たちに優位な展開を作って優勝した。そのときの感覚が、ずっとチームに染み付いていたという。

「個々の選手に、それだけのサーブ力が備わっていなかったのも原因のひとつです。あまりにもミスが多く、結局はミスをしないサーブを打っていったほうが試合にも勝てたので、元に戻ってしまいました。強化したくても、しきれませんでした」

 しかし、サーブを強化しなければ次のステージには進めない。小林監督は覚悟を決め、選手にもそれを宣言した。

【次ページ】 ジャンピングフローターが上手い選手をモノマネ。

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