モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
ロッシは同僚とまた不仲になるか。
MotoGPの偉業達成は目前だが……。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2017/03/23 21:00
カタールでのチーム記者会見にて。チームメートとなった若く才能あるビニャーレス(左)と、ロッシは仲良くできるのか……。
通算114勝、王座9回のロッシのタイムが……。
その問題を解消するためにロッシはいつも通りにパートを区切ってテストを続け、一周を通じてアタックすることも少なかった。それがリザルトの数字に反映されなかった最大の理由だが、数字ほど悪くはないのだろうというのが周囲の一致した意見であり、こうしたテストは開幕戦のフリー走行、予選まで続くことになりそうだ。
ロッシは、これまで通算114勝、タイトル獲得9回(125cc、250cc、MotoGP7回)。
もう2度と破られないだろうと言われてきたジャコモ・アゴスチーニの通算122勝にあと「8」と迫っている。
'96年に125ccクラスにデビューしてから22年目のシーズン。こんなに長くグランプリのトップライダーとして走り続けてきたライダーは過去にいない。それを可能にした理由は、バイクを速く走らせる最大の鍵ともいえるフロントの安定性を徹底的に追い求めてきたからだろう。
そのこだわりは徹底していて、いまやレース界のスタンダードとなった足出し走法も、そのこだわりからロッシが生み出したライディングスタイルである。
がんじがらめのルールで、セットアップがより困難に。
以前なら、自分の好みに合わせた車体の作り込みは勿論のこと、たとえばエンジンのキャラクターの変更や車体にあったタイヤを作ることで改善されてきた。
しかし、現在のMotoGPクラスは、タイヤの1社供給、シーズンを通して使用できるエンジン数の制限、シーズン中の開発禁止、巨大なMotoGPマシンのエンジンパワーをコントロールするエンジン・コントロール・ユニット(ECU)の共通化など、がんじがらめのルールの中で、そうしたピンポイントのセットアップが難しくなっている。