モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
ロッシは同僚とまた不仲になるか。
MotoGPの偉業達成は目前だが……。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2017/03/23 21:00
カタールでのチーム記者会見にて。チームメートとなった若く才能あるビニャーレス(左)と、ロッシは仲良くできるのか……。
38歳のベテランに“勢い”という妙薬がまだあるか?
こうした課題の解消も、若いときなら、“勢い”というモチベーションでなんとかなるときもあるが、経験を積み重ねてきた38歳のベテランにとっては、チャンピオンを目指すために執拗なまでにベストな状態を追い求めることになる。
言葉を換えれば、その時代のマシンやタイヤに合わせたベストなライディングへの探究心が、いまでもトップライダーでいられる理由でもある。
それ以上に、ロッシがいまでもトップライダーでいられる最大の理由は、ライダーにとってもっとも大事な「勝ちたいという強い気持ち」を持ち続けてきたところにあるのでないだろうか。
最近は、モト3とモト2クラスに自身がオーナーを務めるチームを参加させて後進の育成に力を入れているが、自身のレースへの姿勢は何も変わっていない。
こうした「勝ちたいという強い気持ち」が、これまでチャンピオン争いをしてきたライダーたちとの対立を生んだ。
過去、多くのライダー達と対立してきたロッシ。
マックス・ビアッジ、セテ・ジベルナウ、ケーシー・ストーナー、ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケスと、チャンピオン争いをしたライダーたちとことごとく対立して不仲になってきた。
ビアッジを除けば、途中まではいい関係を築きながら、チャンピオン争いが熾烈になってくるとコース上だけでなく心理戦でもプレッシャーを掛けていく――それが結果的に冷えた関係へと発展していった。
今年は……先にも書いた通り、ウインターテストで絶好調だったビニャーレスがチームメートに加わっているのである。