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鈴木誠也が化けたきっかけはU21!?
野球で、国際大会の成績は重要か。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/03/09 07:00
今や侍ジャパンの主軸にまで成長した鈴木誠也。緊張感ある国際大会を戦える貴重な経験は、選手の技術、メンタルを飛躍させる効果があるようだ。
二軍選手に加わった“国際大会の活躍”の評価基準。
年齢別の国際大会が盛んになったことで最も変化したのは、ファーム選手の評価が多様化したことだ。たとえば、『プロ野球選手カラー名鑑2017』(日刊スポーツ出版社)で笠原大芽(投手・ソフトバンク)を見ると、「U23W杯での世界一にも貢献した」とある。吉田正尚(外野手・オリックス)は「台湾でのウインターリーグでも異次元の好成績を残し」と紹介され、昨年オフに支配下登録された岸本淳希(投手・中日)は「昨年は四国IL/香川に派遣され~、昨秋のU23W杯ではセットアッパーとして5試合に投げ、日本の優勝に貢献した」と紹介されている。
国際大会の活躍が評価基準に加わったことで、ファーム選手のうすぼんやりした印象が私の中で一変した。
国際大会がなければファーム選手を評価する基準は、日常的なリーグ戦の成績しかなくなる。そして、二軍で活躍した選手は過去、一軍でブレイクする例が少なかった。代わり映えのしない相手と馴れ合いに近い対戦を繰り返したところで、本当の実力は身につかないということである。その世界に突然、年齢別の国際大会が組み込まれた。
鈴木誠也は世代別W杯で頭角を現し、カープの主力に。
2014年秋に行われた「第1回 IBAF 21U W杯」(以下21U W杯)ではチャイニーズ・タイペイに次ぐ2位になり、ここで活躍したのが鈴木誠也(広島)である。打率.423、打点7で首位打者とベストナインに輝くと、翌'15年には本格的な一軍戦力になり、'16年には広島を25年ぶりのリーグ優勝に導く重要な働きを演じた。この成績上昇に21U W杯が果たした役割は大きいと思う。
◇鈴木誠也の'14~'16年の成績
2014年 試合36、安打22、本塁打1、打点7、打率.344
2015年 試合97、安打58、本塁打5、打点25、打率.275
2016年 試合129、安打156、本塁打29、打点95、打率.335