フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
平昌五輪会場で行われる四大陸選手権。
課題山積みの大会周辺を現地レポート。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byYonhap/AFLO
posted2017/02/17 12:00
フィギュアスケート公開練習時の江陵アイスアリーナ。大きく、真新しく、最新設備が整った良いリンクのようである。
平昌全体のホテル不足は深刻そうで……。
平昌五輪ではこれまで何度も、開催時のホテル不足の懸念が報道されてきたが、実際に現地に入ってみるとそれが誇張でも何でもないことがわかった。
ソチ五輪のテストイベントだった2012年12月のGPファイナルのときは、周辺がどこもかしこも建築ラッシュで、五輪までに必死で完成させようという活気に満ちていた。
だがこの江陵ではそのような活気も感じられず、大きな建築物の建設が進行している様子もない。
平昌の山のほうにはいくつかホテルが建設中だというが、江陵で目に入るのは、日本でいうならホテルというよりは「〇〇旅館」と呼んだ方がふさわしいようなこぢんまりしたホテルばかりである。
収容人数の多い高層の近代的ホテルは見当たらず、たとえそのような施設が建てられても、この土地ではその後の維持は困難だろう。
五輪には選手とコーチ、オフィシャルなど関係者だけでおよそ6500人、報道関係者がさらに2000人ほど集まることが見込まれている。選手は選手村に滞在するとしても、関係者と観客たちすべてに対応できるような施設が、あと1年で整うのだろうか。
今の江陵の様子を見ると、とても五輪を開催できるような場所には見えないのである。
空港、ホテル……浮き彫りとなった運営の不手際。
さて肝心の運営のほうはどうか。
筆者が最初に不安を感じたのは、金浦空港に到着したときである。
どの国際大会でも、その玄関口となる最も会場に近い空港の到着ロビーには、当然大会のインフォメーションデスクが設置されている。だが金浦空港には、四大陸選手権の歓迎デスクは影も形もなかった(仁川空港のほうにはあったと後に関係者に聞いたが)。
送られてきた資料には、本数はわずかとはいえ、ホテルから会場までのシャトルバスの時刻表が入っていた。
到着したメディアホテルでフロント嬢にシャトルバスの乗り場を聞くと、「そんなものがあるとは聞いてないです」と片言の日本語を話してくる。他のジャーナリストに聞いてみると、もう一軒のメディアホテルでもまったく同じ対応だったという。
翌朝、スケジュールの時間通りにバスがホテルの前に唐突に現れた。
だがホテル関係者は、誰もそのことを知らされていなかったのだ。