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Jリーグ名鑑は密かなるネタの宝庫。
「ブーイングスター」って誰でしょう?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/02/15 08:00
表彰式で森脇がカップを掲げても、浦和イレブンやファンはまったくの無反応。これもきっと、愛されている証拠……のはず。
浦和・森脇はなぜ「ブーイングスター」なの?
まずは取材の成果が込められた代表例から。
<ブーイングスター/森脇良太(浦和)>
浦和について知らない人は「相手から毎回ブーイングをもらうから?」と思ってしまいそうだが、実際は逆。浦和のホーム・埼玉スタジアムで森脇が活躍を見せると、浦和サポーターからなぜか盛大なブーイングを浴びせられる。でもこの流れは、いじられキャラの森脇を称える“お約束”として定着したもので、ファンに愛されている証拠? である。
「タイのメッシ」から「青赤のベイル」まで。
またキャッチフレーズで多いのは、海外の名選手をもじったもの。特に外国籍選手にこのパターンは多く、札幌に新加入したタイ代表MFのチャナティップは<タイのメッシ>というニックネームがそのまま使用されているが、日本人選手にも点在する。その中で一ひねりしてあるのが、この2人。
<水戸のルベン・ソサ(元ウルグアイ代表)/山村佑樹(水戸)>
<青赤のベイル(安間貴義コーチ命名)/小川諒也(FC東京)>
チャナティップのように、前述したメッシを筆頭にクリスティアーノ・ロナウド、イニエスタ、ノイアーなど各ポジションのスーパースターが引き合いに出されるパターンが多い。その中でシブすぎる人選なのは山村。ルベン・ソサとはウルグアイ代表のエースとして君臨した左利きストライカーだ。ただソサの全盛期は1980年代中盤から1990年代中盤にかけて。1990年8月1日生まれの山村は、ソサのプレー自体見たことがないのでは……といらぬ心配をしてしまう。
メジャーどころのベイルに例えられた小川については、プレースタイルを聞けば、なるほど! となる。小川のポジションは左サイドバック。ただ流通経済大柏時代から攻撃的なポジションを兼任し、強烈な左足を武器とする。ベイルも元々トッテナム時代は左SBだったが、アタッカーにコンバートしてから大ブレークした経緯を持つ。DF登録ながら小川に対しては攻撃面での期待が大きいのかもしれない。起用法によってはレアルの「BBCトリオ」ならぬ、FC東京の「トリプルO」=大久保嘉人、太田宏介、そして小川なんてホットラインが生まれるかも?