野球善哉BACK NUMBER
筒香嘉智が野球教育に本気で参戦。
「答えを与えすぎず、考える習慣を」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/01/29 08:00
イベントに参加した筒香。日本を代表するスラッガーと触れ合った野球少年は屈託のない表情を浮かべていた。
「野球が将来に繋がらないなら、なくなればいい」
代表を務める瀬野竜之介は言う。
「野球をやることによって、自分で考えることが出来ない人を生んだり、将来に繋がらないのなら、(競技人口が減少している)野球はこのままなくなったらいいと思う。でも、野球には魅力的なものがある。競技人口を増やすためというだけではなくて、もっともっといい野球をしていきましょう、社会に出たときに役立つ人を生み出せるものにしていきましょう。そして、それを広げていきましょう。筒香はそれをやろうとしているんです」
大人たちが率先してチャレンジする姿を見せる。
このアクションは、野球協約においても画期的なものがあった。野球協約第38・39条には「保護地域」というものがある。
12球団にはそれぞれ管轄区域があり、管轄区域の球団の許可なしに、野球教室のイベントなどを開催してはいけない。横浜に本拠があるDeNAの筒香が、いくら出身クラブとはいえ大阪のチームでアクションを起こすのは簡単ではないのだ。
今回の取り組みの裏には、堺ビッグボーイズの関係者たちが大阪が保護地域のオリックスと交渉して実現させた経緯がある。昨年3月、この協約という壁にぶつかった瀬野代表がふと漏らしていたことがあった。
「僕らは、チームにいる子どもたちに失敗を恐れずチャレンジしなさいと伝えています。そうであるのに、われわれ大人たちがチャレンジしていなかったら、それはダメですよね。これからどうなっていくか分かりませんけど、実現すれば、プロ野球選手が経験を還元していく前例になるんじゃないかと思います」