マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校野球が人工芝でドームだったら。
再燃した人気の理由を改めて考える。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/01/25 07:00
もはや高校野球の象徴になりつつある清宮幸太郎。秋の東京大会で優勝して、センバツにも出場が確実視されている。
桑田や清原や大谷が、ファンを球場に連れてくる。
そういうスターが、スーパーマンが、高校野球には必ず現れる。
かつては、延長18回の太田幸司(三沢高)であり、二代目アイドルの島本講平(箕島高)であり、KKコンビの桑田真澄・清原和博(PL学園)であり、ここ数年なら、大谷翔平(花巻東高)、松井裕樹(桐光学園)、オコエ瑠偉(関東一高)なのだろう。
こんなすごいヤツ、もう出ないだろう……。そう思っても、まだ出てくる。そういう“すごいヤツ”がたくさんのファンを球場に連れてくる。
そして、そういうすごいヤツが、17、8歳でありながら、プロで何年もメシを食っている選手も顔負けのプレーをやってのける。
さらに、普通の高校生にしか見えない選手さえも、2年、3年と鍛え上げたワザで見事なプレーを披露してくれる。
時には、平均的にしか思えないチームが、“本命”と評されるチームを破ってしまう番狂わせが、多くのファンの感動、感涙を呼ぶ。
「春はセンバツから」と日本の四季になっている。
全力疾走、全力投球。あきらめない心。
センバツには「春はセンバツから」という季節を表す言葉があり、夏の甲子園が終わると日本は夏休みが終わって、まもなく秋がやって来て、高校野球はすでに季節の風物詩になっている。
ヒーロー、若者、汗、涙、真剣勝負、祭り、季節感、そして何より、日本人の多くが大好きな、野球というスポーツ。
高校野球の中には、日本人の大好きなものばかりがあるようだ。
そしてそれらが渾然一体となって、いつもの季節のいつもの時期に行われるのだから、日本人たちの心を熱く、激しく、痛く揺さぶらないわけがない。