野ボール横丁BACK NUMBER
清宮幸太郎は大人で、妙に可愛い。
「頭、ペシャンコじゃないですか?」
posted2016/12/29 12:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kyodo News
早実の清宮幸太郎の囲み取材は、いつもどこか微笑ましい。
早実の年末恒例、千葉・鴨川合宿の最終日となった12月28日、秋の明治神宮野球大会の決勝以来となる囲み取材が行われた。
1カ月半ぶりにメディアの前に現れるとあって、鴨川総合運動施設の野球場には7台のテレビカメラが並ぶなど、約50人の報道陣が集結した。
練習後、帽子を取り、報道陣の前に立とうとした清宮は、傍らにいた國定貴之部長に「あっ!」と思いついたように尋ねる。
「頭、ペシャンコじゃないですか?」
坊主頭なので、ペシャンコも何もないのだが、頭髪を手でいじりながらしきりに気にしている。
「大丈夫だよ……」と国定部長もややあきれ顔。
テレビ取材の終盤、ひとりの記者が質問している最中に、声が小さかったためそれに気づかなかった國定部長が、取材時間の終了を告げてしまう。すると、すかさず清宮が國定部長に「あれ? (まだ質問)あるっす」と声をかけ、取材時間の延長を申し出た。
清宮は、いつでも取材者に「神対応」だ。
清宮は、いつでも取材者に優しい。今風の言葉を使えば「神対応」といったところか。
6月に行われた和歌山での招待試合のときも、國定部長の代行としてメディア対応の役を務めていた教師が、本来、「テレビ記者→ペン記者」の順で取材を受けるところを、不慣れなせいもあって、テレビ取材が終わった時点で切り上げようとしたことがある。
すると、ペン記者が指摘するよりも先に清宮は「まだペン終わってないですよ」と部長代行のスタッフにやんわりと抗議をしてくれた。
その対応の素早さに取材陣が安堵の表情を浮かべると、清宮は、しっかりしてくださいよと言わんばかりに、部長代行の肩を叩いてニヤリ。
大人顔負けの仕切り振りだった。