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源昌子の“すべらない”守備の話。
スライディング無しで守る方法論。

posted2017/01/08 11:30

 
源昌子の“すべらない”守備の話。スライディング無しで守る方法論。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

急激な成長を見せ、いまや誰もが認める鹿島のディフェンスリーダーになった昌子源。イチかバチかより、DFには大切なものがあるのだ。

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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 すべらんなあ。

「人志松本のすべらない話」ではないが鹿島アントラーズのセンターバック、昌子源を見ていると思わずそうつぶやいてしまう。

 彼はシュートブロックのためのスライディングがとにかく少ない。

 体を投げ出すスライディングでのブロックは、言わば“最終手段”。シュートをブロックできれば御の字だとしても、外される可能性だってある。つまりは「賭け」。GKとの連係を考えれば、むやみに賭けに出ることなくシュートコースの一方を消すほうが防ぐ確率は高まるのかもしれない。優勝した天皇杯でも常勝軍団の背番号3は、冷静に確率の高いプレーを選択していた。

 クラブワールドカップを終えてから24日の準々決勝サンフレッチェ広島戦、29日の準決勝横浜F・マリノス戦、そして元日の決勝川崎フロンターレ戦と3試合で失点はわずか1。昌子の安定感はピカイチであった。

 そしてまた思った。すべらんなあ、と。

すべって切り返されるよりは「潔くあきらめますね」。

 もう1年半ほど前になるだろうか。

 ハリルジャパンで国際Aマッチデビューを果たした後、「すべらない話」を聞いたことがある。

 きっかけは、国内屈指のストライカーである豊田陽平との1対1を語ったときのこと。

 ホームのサガン鳥栖戦(2015年4月)で相手のカウンターを受け、ゴール正面でペナルティーエリア内に入ってきた豊田と対峙した。豊田に切り返されながらも、うまく回ってシュート体勢に入る前に「すべって」右足でボールをカットして防いだ。

 彼はこう振り返った。

「あのときは豊田選手の足元にボールが入っていたんで、シュートもなかなか打ちづらいと思ったんです。でも僕は、あんまりすべらない。ギリギリ当たるか当たらないかですべって切り返しをされるよりも、僕の場合は潔くあきらめますね。

 フォアだけ消してニアに打たせるとか、うしろはソガさん(曽ヶ端準)なんで取ってくれる。すべって股を通されるとGKは取りにくい。それに立っていれば、切り返されてもついていけますしね。僕は連係を大事にしたいし、だから極力すべらないようにしているんです」

【次ページ】 大袈裟にすべる時は、大体時間稼ぎのため。

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