畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
畠山健介、トップリーグを考える。
15人中11人が日本人なのだから。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2017/01/05 17:00
2017年の初詣の大國魂神社にて。おみくじは「末吉」だったけど、そのお告げ内容は上々!?
“怪物”外国人選手だけではリーグを勝ち抜けない。
そういったチームは抜きにして考えれば、4名の外国人選手と11名の日本人選手。比率は日本人選手が73%で、外国人選手は3割にも満たない。どれだけ優れた外国人選手がチームに加入しても、チームを構成する(1試合にグラウンドに立てる)約73%の日本人選手のプレーの質がより重要なはずだ。
サンゴリアスにはジョージ・スミスという“怪物”がいる。彼は世界的なプレイヤーで能力も飛び抜けている。未だにワラビーズ復帰を望む声さえある。日本の解説や実況は彼のプレーを絶賛し、どの試合でもキープレーヤーとしてあげる。それに全く異論はないし、近くで見ているからジョージがいかに“バケモノ”かも分かる。もし僕が監督で、ジョージがいるチームと対戦するなら彼を“要注意人物”として警戒するだろう。
しかし、ジョージ以外の選手が皆、高校生ほどの能力だったらどうだろうか? ヤマハやパナソニック、神戸製鋼などトップリーグのチームに勝利し続け、優勝できるだろうか?
パナソニックのベリック・バーンズしかり、怪物級が1、2人いただけでは2、3試合の勝利数は増えるかもしれないが、長いシーズンを経てのチャンピオンにはなれない。
パナソニックが3連覇できるほど強かった理由。
イメージとしては、日本人選手だけでトップリーグ3、4位ぐらいの成績を残せるチームに、約26%の能力と経験のある外国人選手を加えることで、チーム力がグッと増して、トップリーグでチャンピオンになれる。
パナソニックがなぜ3連覇できるほど強いのか? 26%の外国人選手枠での有効な強化ができていることに加えて、73%の日本人選手のレベルが高いからだ。ベテラン、中堅、若手に代表選手や代表経験者が在籍し、プロ選手も多いのでラグビーに向き合う時間も長い。日本人選手の能力とラグビーナレッジのレベルが非常に高いのだ。
どの国の外国人選手を加入させるか? ではなく、どのようにして日本人選手を育て、強化するかが重要だ。
大学生では怪物級でも、トップリーグでさらにレベルアップするには、明確なビジョンと正しい知識を伴う強化が必須だ。