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大宮アルディージャは接戦で輝く。
J1復帰1年目で5位、次は栄冠を。
posted2016/12/27 11:00
text by
粕川哲男Tetsuo Kasukawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
J1復帰1年目となった2016シーズン、大宮アルディージャは年間5位と大健闘した。J2優勝を果たした勢いをそのままに、第2ステージに入ってからも10試合負けなしなど好調をキープ。ホーム&アウェーの34試合で連敗した相手はアルビレックス新潟だけで、鹿島アントラーズ(1勝1分)、浦和レッズ(1分1敗)、川崎フロンターレ(1勝1敗)の上位3チームとも互角に渡り合った。
ルヴァンカップはベスト8。天皇杯は4強に残り、初タイトルの可能性を残している。J1での最高順位が12位、常に残留争いを繰り広げてきた過去を思えば、クラブ史に残る最高のシーズンだった。
飛躍した最大の要因は、継続を選択したクラブ方針。
飛躍を実現した最大の要因は、継続を選択したクラブ方針にあったと言える。これまで毎年のように監督を交代し、勝点50、一桁順位、ACL出場などの目標を達成できないままシーズンを終えてきたクラブは、積み上げることの大切さに気がついた。継続する覚悟があったからこそ、J2降格を経験しても、1年でJ1に復帰しても、一喜一憂することなく渋谷洋樹監督にチームを任せたのである。
「選手に聞いてもらえば分かると思いますが、練習内容はほとんど変えていないんですよ。攻守の一つひとつの精度を上げる意識はありますが、変わったことはしていない。結局、僕は自己満足の練習をしているだけなので……」
指揮官はそう自嘲するが、チーム力を一気にアップさせる魔法のレシピなど存在しない。監督が望む戦い方を理解した選手たちが、慣れ親しんだトレーニングを繰り返す。それが、結果を生む何よりの近道ではないだろうか。
つまり、SB奥井諒、MF江坂任、MFネイツ・ペチュニクなど的確な補強はしたものの、例年のように大幅に選手を入れ替えることなく、J2で苦しみを分かち合ったメンバーの多くを残したクラブの判断は、間違っていなかった。