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生え抜き愛と大型トレードは悪相性?
プロ野球で選手の移動が少ない理由。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2016/12/19 07:00

生え抜き愛と大型トレードは悪相性?プロ野球で選手の移動が少ない理由。<Number Web> photograph by Getty Images

198cmと長身のセールは、長い腕を横手から繰り出してボールに角度をつける。5年連続2ケタ勝利で、今季も自己最多タイの17勝を挙げた。

日本では主力のトレードはほとんど聞かない。

 日本のプロ野球で、主力選手のトレードが成立したという話は、最近ではほとんど聞かなくなった。このオフには2012年のパ・リーグMVP左腕の吉川光夫投手と石川慎吾外野手が、巨人の大田泰示外野手、公文克彦投手と2対2のトレードで移籍しているが、前出の大リーグのトレードほどのインパクトはないだろう。

 補強と言えばドラフトでの有力新人の獲得と外国人選手を含めたFA選手の獲得が主流で、主力選手のトレードという即効性のある補強法はほとんど無視されている。なぜだろうか?

 日本のプロ野球で主力選手のトレードが成立しにくいのは、まず何よりも12球団しか存在しないからではないかと思う。球団の数が少なければ、トレードの優劣がダイレクトに順位に現れる可能性があるので、トレードが失敗すれば有力新人を育て切れなかった時や、外国人選手が活躍しなかった時以上に責任の所在が問われる。トレードの優劣が球団フロントの進退問題に関わってくるのなら、それは二の足を踏んで当然だ。

年俸が上がるタイミングが明確でないから?

 もう1つは大リーグのように、明確で分かり易い年俸上昇の時間軸がないことではないか。日本プロ野球のチームが主力選手を手放すのは、選手が国内FA権取得条件の一軍8年に達した時か、大リーグ志向のある選手がポスティング制度を行使して欲しいと言い出す時期しかない。

 大リーグでは3年で年俸調停権の取得、6年でFA権取得という年俸上昇のタイミングがあり、(複数年契約を結んだエリート以外は)大リーグ歴3年目以降の選手は毎オフ、球団にとっては「せっかく主力に育てたものの、低予算で運営している我が球団ではこれ以上、年俸を上げるわけにはいかない」と放出の絶好のタイミングを迎えることになる(もちろん、球団による)。

 もしも、日本のプロ野球がJリーグのように18球団(J1のみ)ぐらいあれば、トレードという冒険を試みる編成部長も出てくるのではないか。または、もしもFA権の取得までの期間が大リーグ並みに短ければ、主力選手のトレードはもっと頻繁に起きるかも知れない。

【次ページ】 「生え抜きが減ったら愛情が減る」とは言うが。

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