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中央大が独自で始めた海外挑戦制度。
石川祐希をテコにバレー界に革命を。 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byKiyoshi Sakamoto

posted2016/12/11 07:00

中央大が独自で始めた海外挑戦制度。石川祐希をテコにバレー界に革命を。<Number Web> photograph by Kiyoshi Sakamoto

16日開幕の天皇杯は1回戦で岡崎建設Owlsと対戦する。来季の目標「4冠」も見据え、石川不在時のフォーメーション、チーム作りも想定に入れて戦う。

海外帰りの選手の存在は、チームにも好影響。

 石川が1度目の挑戦の後、多くのものをチームへ還元したように、彼に刺激を受けた選手たちが「自分も」と海外での挑戦を希望し、実際にチャレンジすることで多くのものを得る。その選手がチームに戻ってくれば、また何かを還元してくれるだろう。

 そうした経験の上積みが、選手個人の財産になることはもちろん、チーム、大学バレー、そして日本バレーの底上げへと繋がっていくのかもしれない。

 現在、松永はより多くの部員が海外挑戦できるよう、イタリアに限らず欧州のさまざまなクラブへの短期派遣の可能性を探っているところだ。

 また、今年11月上旬にはプロジェクトの一環として、チーム初の海外遠征も敢行した。秋季リーグ後、全日本インカレまでの期間を利用し、3泊4日の日程で行った韓国での強化合宿。現地の大学生と真剣勝負を行った。今後も積極的に行っていく方針だという。

 監督就任5年目の今年は秋季リーグを制し、12月3日には全日本インカレで優勝。大きなプレッシャーを乗り越え3連覇を成し遂げた。そして、念願の海外支援を軸とした新プロジェクトもスタート。1つずつ「やりたいこと」を実現している。そんな若き指揮官の姿や熱い情熱は、部員たちにも確実に伝わっているようだ。

石川や選手たちからは、厚い信頼。

 今季主将としてチームをけん引する4年・井上慎一朗は言う。

「理生さんはすごく目標が高いというか、自分なら目標にしないレベルのことを目標に掲げる人。インカレ3連覇を成し遂げたように、目標を実現する姿ややりきるところを近くで見てきました。自分もそういうふうになれたらと思うし、尊敬しています。理生さんのおかげで自分も“変われた”と思う」

 2度目の海外挑戦が始まったばかりの石川も、「新しい試みを強化につなげ、また、僕たちが間違った方向に進まないよう道を示してくれている」と信頼を寄せている。

 中央大学独自のプロジェクト発足にあたっては、実は「抵抗もあった」というが、それ以上に「率先して行うことが、日本バレー界の発展につながると信じている」と力がこもる。

「まだまだやりたいこと、やらなければならないことがたくさんある」

 若手育成に心血を注ぐ若き指導者の挑戦は、これからも続いていく。

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石川祐希
中央大学

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