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中央大が独自で始めた海外挑戦制度。
石川祐希をテコにバレー界に革命を。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2016/12/11 07:00
16日開幕の天皇杯は1回戦で岡崎建設Owlsと対戦する。来季の目標「4冠」も見据え、石川不在時のフォーメーション、チーム作りも想定に入れて戦う。
石川が切り開いた制度で、海外に他の選手も送る。
同年9月に開催されたW杯。この大会で石川はブレイクした。日本は5勝6敗、勝ち点16で6位となり、'95年大会以来の好成績を収めた。また、石川は個人でもベストスコアラー6位、ベストスパイカー4位と大活躍。11試合中5試合でチームベストスコアラーをマークし、他にもサーブ、ブロックで得点を重ねるなど、チームの勝利に大きく貢献したのだった。
イタリア短期派遣がもたらした意識改革と大きな自信。それは同じチームでプレーする、中大の部員たちにも大きな影響を与えることとなった。
松永は言う。
「石川以外にも、海外に行きたいという選手は多いですね。だからこそ、僕らがそういった環境、組織づくりを行っていかなければならない」
海外では、日本で当たり前に通用していたことが通用しなくなる。まず、言葉が通じない。自分に対する周囲の評価や反応も異なる。そういった“違い”に戸惑うこともあるだろうが、観察力や想像力が磨かれ、広い視野を養うことにもつながる。
そういった経験を繰り返すことでバレーの技術ばかりではなく、人間としての幅も広がるだろう。それが10代後半~20代前半で経験できるのは魅力的だ。たとえ、それが短期間であっても、それだけの価値があると言える。
大学ならば、リスクなく海外留学ができる。
「こういった挑戦ができるのが大学のいいところでもあると思います。たとえば、社会人になって“海外に挑戦”となると、会社を辞めなければならないとか、大きなリスクが伴ってくる。
しかし大学であれば、シーズンが終わった春休みを利用して1カ月や2カ月、短期間でも海外に行くことが可能です。万が一、受け入れ先のクラブチームの財政が苦しく破綻したとしても、大学に戻ることができる。石川のようにセリエAの1部だけではなく、大学時代から2部でも3部でも海外に行って経験することは大事なこと」