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サイ・ヤング賞と謎の記者投票。
採点競技と共通する“主観”。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2016/11/26 07:00

サイ・ヤング賞と謎の記者投票。採点競技と共通する“主観”。<Number Web> photograph by AP/AFLO

メジャー屈指の右腕、ヴァーランダー。サイ・ヤング賞落選に婚約者が激怒したとの報道もあったが、WHIPは1.00と抜群の安定感だった。

採点競技と同様、主観が入りやすい記者投票。

 真相はわからないが、釈然としなかったことはたしかだ。なるほど、ポーセロの22勝4敗、防御率=3.15という成績は、10年前の基準なら文句なしに受賞に値したと思う。

 ただ、近ごろは選考の基準が変わった。はっきりいって勝ち星の数はほぼ問題にされないし、223回を投げて奪三振189という数字もやや物足りない。レッドソックスを地区優勝に導いた奮闘は無視しがたいが、それを評価するなら、ヴァーランダーも自軍(タイガース)をワイルドカードにあとひと息の位置にまで浮上させた功績がある。

 採点競技と同様、記者投票による選考にはどうしても主観が入り込みやすい。私にしたところで、2010年ごろにタイガースの絶対的エースだったヴァーランダーの記憶が強烈なため(そのころ同じチームにいたポーセロは、防御率が4点台後半の3番手~4番手投手だった)、先入観に支配されていないとは言い切れない。ま、来年はもっとすっきりした結果を期待しよう。ダルビッシュ有の本格的な復活や、今季ア・リーグ新人王に輝いたマイケル・フルマーの成長も楽しみにしたい。

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