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サイ・ヤング賞と謎の記者投票。
採点競技と共通する“主観”。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2016/11/26 07:00

サイ・ヤング賞と謎の記者投票。採点競技と共通する“主観”。<Number Web> photograph by AP/AFLO

メジャー屈指の右腕、ヴァーランダー。サイ・ヤング賞落選に婚約者が激怒したとの報道もあったが、WHIPは1.00と抜群の安定感だった。

2人の記者がヴァーランダーを推していたら……。

 この投票が物議を醸したのは、ポーセロが30人の記者全員の票を獲得したのに対し、ヴァーランダーに投票した記者が28人にとどまったためだ。こちらは5名連記の投票で、ポイントは1位=7点。以下、4/3/2/1と割り振られている。

 ヴァーランダーは1位票を14人から獲得したにもかかわらず、2位票が2名しか集まらなかった。一方のポーセロは、1位票こそ8人にとどまったものの、2位票が18人と着実にポイントを伸ばした。しかし……。

 もしAPのフレッド・グッドオール記者とMLB.comのビル・チャステイン記者がヴァーランダーを3番手以上に推していたら、結果は逆になっていたはずだ。グッドオール氏は、(1)ポーセロ、(2)クルーバー、(3)J.A.ハップ、(4)ザック・ブリトン、(5)アーロン・サンチェスに投票した。チャステイン氏は、(1)ポーセロ、(2)ブリトン、(3)クルーバー、(4)クリス・セール、(5)田中将大に投票した(記名投票なので、BBWAAのHPに詳細が出ている)。

昨季の故障で先入観を抱いてしまったのだろうか。

 これにはちょっと、首をかしげざるを得ない。両氏とも理由は公表していない。たしかにハップは20勝をあげたし、ブリトンは抑えの切り札として防御率0点台を記録したし、若いサンチェスも192イニングスを投げて15勝2敗、防御率=3.00(リーグ1位)の好成績を挙げた。

 しかし、ヴァーランダーは大きな怪我から復活して227回3分の2(リーグ2位)を投げて16勝9敗、防御率=3.04(リーグ2位)、奪三振254(リーグ1位)の結果を残しているのだ。選手生命の終わりか、とさえ思わせた昨シーズンの故障を見て、両記者はヴァーランダーに対して頑迷な先入観を抱いてしまったのだろうか。それともほかに、なにか抜きがたい理由があったのだろうか。

【次ページ】 採点競技と同様、主観が入りやすい記者投票。

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