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「菊花賞は強い馬が勝つ」は古い。
折り合いが重要なら、ディーマジェ。
posted2016/10/22 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
「空前のハイレベル」と言われる今年の3歳牡馬たちが、三冠競走を締めくくる、第77回菊花賞(10月23日、京都芝3000m、3歳GI)で激突する。
頂点に立つのは皐月賞馬か。2億4150万円の高馬か。それとも、夏の上がり馬か。
昔から「皐月賞は速い馬、ダービーは運のいい馬、菊花賞は強い馬が勝つ」と言われてきたが、馬場特性や距離体系、フルゲートの頭数などが変わってきたことにより、この格言も最近の競馬には当てはまらなくなりつつある。
今なら、「皐月賞は器用で切れる馬、ダービーは強い馬、菊花賞はどんな流れでも折り合う馬が勝つ」といったところか。
皐月賞は小回りで直線の短い中山をいかにこなせるかが問われる。「速い馬」はNHKマイルカップに向かうようになった。
ダービーは、出走馬が20頭以上いた時代は、馬群の殺到する1コーナーで揉まれないなどの運も大切だったが、フルゲート18頭の今は、東京の長い直線での底力勝負になった。
そして菊花賞。以前から、京都の3000mは2周目より1周目の3コーナーの上り下りをスムーズにこなすことが大切と言われていた。ここでスピードに乗りすぎると折り合いを欠いてしまうからだ。その傾向が、高速馬場になったことで、より強くなった。どの馬もスピードに乗りやすくなり、掛かり癖のある馬はより掛かりやすくなったのだ。
ダービー馬マカヒキ不在ならば……。
折り合い面に不安がなく、なおかつ、ハイレベルな戦いを制するだけの力のある馬というと、ダービー馬マカヒキのいないここでは、やはり、皐月賞馬ディーマジェスティ(牡、父ディープインパクト、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)か。
前走のセントライト記念は首差での1着だったが、着差以上に余裕のある勝ちっぷりだった。二ノ宮調教師が言っていたように、もともと「飛ぶ」というより「沈む」走りをする馬で、軽さのある馬のほうがいい皐月賞には不向きなタイプであるにもかかわらず、皐月賞を勝った。それだけ総合能力が高い、ということだ。