オリンピックへの道BACK NUMBER
バレーボール新リーグ、今回は……?
募る危機感と、変わらぬ阻害要因。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2016/10/02 07:00
オリンピックで女子バレーは人気競技の1つである。観戦したことがある人が多いというのは大きな武器だ。
Vリーグの観客動員は1試合平均3000人前後。
なるほど、10年前からすれば、男女ともに減っており、特に女子は大きく減少している。ただ、ここ3年は歯止めがかかり、高校では少しずつ増加している。むしろ女子の場合、中学から高校へ進学する時にバレーボールから離れる割合が大きいのが気になるところだ。
トップリーグであるV・プレミアリーグの1試合あたりの観客動員数は、2014-2015年度が女子3201人、男子2420人。2015-2016年度が女子3333人、男子2990人。微増しているが、他の年度も、おおよそこの規模の数字にとどまっている。
言えることは、日本代表の試合こそ演出などの効果もあって注目を集めるが、国内リーグはその盛り上がりからは取り残されているということだろう。
バスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」がスタートした影響もあるだろう。体育館確保のくだりはそれを象徴する。
プロ化に消極的な企業チームとの温度差。
とはいえ、バレーボール界がこのままプロ化へと進んでいくかどうかは予断を許さない。これまでも、バレーボールはプロ化を目指したことがあった。
1994年に発表されたプロ化構想は、選手のプロ契約の承認、プロチームの参加を認めるといった内容で、1998年の完全プロ化をうたっていた。同年から日本リーグはVリーグに改称している。だが、プロ化に積極的なチームはなく、2年後に頓挫する。
2003年には、Vリーグ機構が発足。プロ化も視野に入れてのスタートだったが、今日まで実現せずに至った。Vリーグの中には企業チームではなくクラブチームとして参加しているところもありプロ契約の選手も現れたが、大勢が変わらなかったのは結局のところ、企業チームがプロ化に消極的なことがある。
今回の構想も、交渉の難しさをにじませる内容になっている。
監督はプロ契約に限るとする一方で、選手の雇用形態は現行と変わらず社員契約も認める。チーム名に地域名を入れることを求めつつ、企業名も入れられる。これらは、プロ化への抵抗感への配慮だろう。
そもそも選手の中に、プロ化を望む声がどれだけあるのだろうか。昨年、一昨年に聞いた時には、プロになりたい選手が多数という手応えは受けなかった。そこにも、プロ化が簡単には進まない要因がある。