“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
試合の前に勝つのが分かっていた!?
サッカーU-16で森山監督が伝えた言霊。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2016/09/27 07:00
準々決勝のUAE戦の直前、ウォームアップに励む選手たちを見守る森山監督。この時点で……「80%我々の勝利」と監督は確信していたという。
「(勝負は)試合までに80%決まっている」
このチームの心臓でもある2人。福岡が豊富な運動量を駆使して、中盤で猛プレスを仕掛けると、一方の平川は福岡の動きを常に視野に捉えながら危険なスペースを埋め、セカンドボールを一掃し、攻撃の起点として正確なパスを前線に供給し続ける。この2人の関係性こそが、最後まで日本のリズムを作り続けた最大の要因となった。
他にも右サイドバックでスタメン出場をしたMF喜田陽も、90分間絶え間ないアップダウンを繰り返し、球際の激しさと出足の鋭さを駆使して、インターセプトからチャンスを作り出していった。
80分に自ら獲得したPKを外し、ノーゴールに終わってしまった宮代も、最後まで気持ちを切らすこと無く、全力で前線からボールを追いかけ続けた。
「宮代の気持ちが凄く、ヒシヒシと感じるものがあった」と森山監督が語ったように、チームの勝利のために身体を張り続けた宮代を、最後までピッチに残した。
「実は前日の練習を見て、『これは勝てる』という確信が生まれていました。(前日練習は)かなり集中力高くて、『これで負けることは無いだろう』と。選手達に『(勝負は)試合までに80%決まっている』と話している。今回は80%が我々の勝利で、あと20%は『何が起こるか分からない』。この20%をうまくみんながカバーしてやってくれた」(森山監督)
試合の90分間だけで出る“引力”は弱い。試合前からその“引力”を醸し出すことで、90分間のうちに迎えるピークはより高い位置にいくことになる。それは即ち勝率を高めることに繋がる。
「僕たちは常に戦う気持ちを持っています。最後のあの『戻り』も、スタッフや選手23人全員が団結し、記者さんだったり、サポーターさんだったりの気持ちが、自分の足を動かしてくれたのだと思います」(菅原)
「気持ちには引力がある」
森山監督の教えを、彼らはしっかりとピッチ上で表現する。勝利が引き寄せられるのは、まさに必然のことであった。