リオ五輪PRESSBACK NUMBER
井上康生と井村雅代に共通点が?
真逆の指導法の底に「選手のため」。
posted2016/08/21 16:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JMPA
8月20日の競技が終わった段階で、日本の選手が獲得したメダルは、金12、銀8、銅21の計41個を数える。ロンドン五輪の38個を抜き、史上最多となった。
これはひとえに、幅広い競技で多くの選手が活躍を見せた結果だ。
そんな今大会は、指導者の姿も多くクローズアップされることになった。
その1人が、柔道男子日本代表の井上康生監督である。1964年の東京五輪(4階級)以来となる全階級(7階級)でのメダル獲得を成し遂げ、柔道復権をアピールした。
常に選手にアドバイスを送り、励まし続けた。以前の指導体制のように、選手を罵倒することもけなすこともない。もちろんそれは、リオデジャネイロ五輪の期間中に限った話ではない。
柔道の最終日を終えて口にした、「すばらしい子どもたちでした」というひとことが象徴的だ。選手たちは、そんな井上康生に信頼を寄せた。「井上先生のために」、「恩返ししたい」。そんな言葉も、選手は口にした。
本人たちがしんどければ、もっとしんどい練習を。
復権ということで言えば、シンクロナイズドスイミングもその1つだ。デュエットでは8年ぶりのメダルとなる銅、チームは12年ぶりとなる銅メダルを獲得した。
再建は、アテネ五輪以来久々に日本代表を指導したヘッドコーチの井村雅代の存在なくしてありえなかった。
井村の手法は、表面的には井上とは異なる。練習は1日12時間におよび、練習中に選手を厳しく叱りつけるのは日常茶飯事。
「練習で本人たちがしんどいと言っても、『決めるのは私や』と、もっとしんどいことをさせました」
メディアの前でも、「まだまだ」と厳しく駄目出しするのは珍しくはない。