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放映権料が上がった背景と使い道。
コンサルがJリーグの分配を考える。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/08/09 07:00

放映権料が上がった背景と使い道。コンサルがJリーグの分配を考える。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

現在J1の首位を走る川崎フロンターレ。彼らのような攻撃的なチームが上位にいることは、リーグにとっても重要かもしれない。

リーグ戦で上位に入ったクラブに手厚い分配も?

 各クラブへの分配金を均等に増やしたり、リーグとして大物選手や大物監督を招聘したりと、いろいろな考え方があるとは思いますが、個人的には、トップクラブへの集中分配がなされるのもおもしろいのではないかと考えています。

 たとえばJ1クラブへの分配金を現在の約2億円から3億円に、J2やJ3クラブへの分配金も一定程度ベースアップしたうえで、残りの資金をJ1年間王者と天皇杯優勝チームの2クラブに思いきって分配するアイディアです。

 スペインのリーガ・エスパニョーラにおけるバルセロナやレアル・マドリーのような、アジアあるいは世界の強豪と渡り合えるクラブをつくりだし、リーグ発展の牽引役となってもらうのです。

 しかし、特定のクラブに一極集中的に資金を分配する案がすぐには受け入れられがたいのも事実でしょう。そこで「トップクラブへの分配金に厚みをもたせる」、「下位クラブも躍進を果たすための原資を手に入れることができる」、この2つを両立させうるような資金分配のあり方を考えてはどうでしょうか。

同じ2億円でも、クラブによって価値は違う。

 最初は平等分配からスタートするとします。受け取れるのは同じ金額でも、予算規模の小さいクラブ(下位に沈みがちなクラブ)ほど、ブースト効果は大きく働くことになります。昨年度の売上が60億円超でトップだった浦和と、15億円あまりで17位だった湘南とでは、たとえば同じ2億円でも、その経営的なインパクトはまったくと言っていいほど違います。もし昨年の湘南にあと2億円の予算があれば、遠藤航選手(浦和へ移籍)や永木亮太選手(鹿島へ移籍)ら主力メンバーの移籍に歯止めをかけることができたかもしれません。

 均等分配の恩恵を原動力として、下位から上位へと居場所を変えるチームが出てきてほしいというのが1つのシナリオです。それを前提に、3~4年後には、均等分配をやめて、たとえばACL出場権を獲得したトップ4クラブへの重点的な分配に移行します。3年前は下位に喘いでいたチームがトップ4に食い込んでくれば、ここでさらに大きな資金を手に入れ、チーム力をより充実させることができるようになる――そんなチャンスをJリーグが意図的に用意するのです。

【次ページ】 契約金額に見合う成果を出さなければいけない。

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