猛牛のささやきBACK NUMBER
比嘉幹貴「後から謝ればいいやー」
オリの頼れる男は、開き直りが凄い。
posted2016/08/04 11:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
NIKKAN SPORTS
オリックスに頼れる中継ぎエースが帰ってきた。福岡ソフトバンクと優勝争いを繰り広げた2014年に、リーグタイ記録の34試合連続無失点を記録した比嘉幹貴だ。
オリックスは7月31日現在、37勝55敗と大きく負け越して最下位にいる。しかし7月の成績だけを見れば、12勝11敗と今季初めて勝ち越し、一度は消滅した自力CS進出の可能性をかろうじてつなぎ止めている。
今季序盤に苦しんだエースの金子千尋や西勇輝が本来の投球を取り戻してきており、松葉貴大がプロ初完投、山田修義がプロ初勝利を挙げるなど先発陣が整い、塚原頌平、吉田一将、平野佳寿という新たな勝利の方程式にも安定感が出てきた。
加えて、海田智行とともに先発と終盤のリリーフをつなぐ重要なくさびの役割を果たしているのが比嘉だ。おもに試合中盤、先発投手がピンチを背負うと投入され、相手に傾きかけた流れを鮮やかに断ち切る。
7月31日の埼玉西武戦では、1点ビハインドの8回表、2アウト1塁の場面で比嘉がマウンドに上がると、西武の四番浅村栄斗を打ち取りピンチの芽を摘み取った。するとオリックスはその裏4-4の同点に追いつき、9回は川端崇義のサヨナラ安打で逆転勝利をおさめた。頼れるくさびができたことで、遅ればせながらチームは僅差の試合を粘り強くものにできるようになってきた。
2014年に残した0.79という圧巻の数字。
比嘉は今年プロ7年目の33歳。'13年には59試合、'14年は62試合に登板。佐藤達也、平野につなぐ重要な役割を担い、'14年には防御率0.79という圧巻の数字を残した。
しかし昨年は、以前から抱えていた右肩痛が悪化し、春季キャンプからノースローが続いた。優勝候補の一角に挙げられていたオリックスにとって、中継ぎの柱の離脱は痛すぎた。
昨年8月、比嘉は右肩関節唇の修復手術に踏み切り、長期のリハビリを経て、今年6月12日、一軍復帰を果たした。復帰当初は失点もあったが、ここ6試合は無失点ピッチングでチームの反撃ムードを後押ししている。