なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
スウェーデンに歯が立たない現実。
なでしこ、世界一への遥かな距離。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byAFLO
posted2016/07/29 11:40
スウェーデン戦でのスタメン。後列左から熊谷紗希、阪口夢穂、川村優理、宇津木瑠美、山下杏也加、永里優季。前列左から、村松智子、増矢理花、中里優、佐々木繭、有吉佐織。
「あれほどの“負け”は久々に味わいました」
「この2回の遠征では、アメリカ、スウェーデンといった強い相手とできてよかった。ここでなんとなく勝つよりも、強い相手にこうして悔しい思いをしてしまったことで、改めて感じたことがありますから。当たり前にできると思っていたことができなかったことのショックもありました。でも、この経験をして良かったと思えるような今後にしていきたい」と、遠征を振り返ったのは、この新チームですべての試合にフル出場をしている阪口夢穂。
阪口が4試合の中でなによりもショックを受けていたのは、スウェーデン代表との試合だった。
「悔しいし、情けない。あれほどの“負け”は、久々に味わいました。ズドンときた感じ。試合直後は前向きに話せない自分がいた。自然と試合終了直後に選手同士で輪ができたけど、すぐにそこで何かを反省をしたり、どこが悪かったとか言い合って振り返ることもできなくて、何も言葉が発せなかったくらいです」
「勝ち方を見せつけられた」というこの試合。そのショックの大きさと同時に、このショックは再び自らを奮い立たせるきっかけにもなった。
「この気持ちを忘れてはいけないし、また勝ちたいと強く思う気持ちを、常に忘れないように過ごしていかないといけないと思います。まだ、チームとしてどういう完成形になっていくのかわからないけれど、今はそれを探しているところ。遠征が終わって、あとは個々がどう過ごしていくかが問題ですし、自分との戦いになってくるでしょう。私自身も28歳になった今、代表歴も長くこのチームでは最年長になってしまって、現状維持という意識がどこかにあったかもしれない。でも、今はもっと自分のレベルをあげて成長していきたいと強く思っています」
「自分が今やるべきことを明確にする必要が」
「テクニック、状況判断、個のペナルティーエリアでの強さ、フィジカル的なパワーなど、国内で通用しているからと言ってできるつもりにならず、もう1個上にいこう」と、遠征を終えてそれぞれのクラブに戻る選手たちに対し、高倉監督が強く求めたのは、“個のレベルアップ”だ。
「高倉監督が言う個人能力を高めるために、全員が、それぞれ何が必要で、何が求められているかを分析し、自分が今やるべきことを明確にする必要があると思います。私はそれを自分なりに考えた上で、すべきことをしたいと思います」と永里。