話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
五輪までにU-23に必要な3つのこと。
全てのカギは、遠藤航が握っている。
posted2016/07/29 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
リオ五輪で48年ぶりのメダル獲得を狙い、ブラジルで調整をつづけるU-23日本代表。初戦のナイジェリア戦を迎えるに当たって、今すべきことは何なのか。過去の五輪やW杯の経験から勝利のための3つのポイントを挙げた。
最初に重要なのは、初戦までに「俺たちはやれる」という自信を持てるかどうかだ。前回のロンドン五輪は、大会直前の親善試合ベラルーシ戦で試した守備戦術を、優勝候補だったメキシコとの親善試合で試し、2-1で勝利した。この時、この守備を全員でやれば勝てるという自信をつかんだ。
アトランタ五輪でブラジルを破った時もそうだが、「これでいく」という方針が掴めれば、日本人の特性として忠実にそれを実行することができる。ロンドン五輪の時もまさにそうで、アグレッシブな守備を軸に90分途切れることなく動き、集中してプレーした。それがスペイン撃破という金星につながった。
今回のリオ五輪のチームには守備のベースがあり、互いをよく理解しているので、OAを加えた守備戦術の確認、浸透もそれほど時間を要さないだろう。親善試合のブラジル戦で課題が出ても、初戦までの数日で修正は十分にきく。まずは守備のやり方を含め「これでいける」という確固たるものを得ることだ。
30日のブラジル戦で、メインとサブが明確になる。
2点目は、サブ組のフォローだ。30日のブラジル戦では、おそらく初戦のナイジェリア戦に出場するメンバーがスタメンとなるはずだ。つまり、ここでレギュラーとサブが明確に区別されることになる。
これはW杯を含めてどんな大会にもあることだが、この時、サブ組の気持ちを切らさないためにも、チームのために同じ方向をむいて進む雰囲気をキャプテンの遠藤航らがうまく作ることが重要だ。
たとえばブラジル戦が終わった後、選手だけのミーティングを開いて個々のリオ五輪への思いをぶちまけてもいいと思う。とにかくレギュラーとサブが躊躇なくコミュニケーションを取れるようにする。一番恐いのは、なんとなく不満をためたままにしておくことだ。
ドイツW杯の時のように不平不満が蓄積し、初戦のオーストラリア戦に敗れた後、不満が爆発してチームが空中分解してしまった例もある。もちろん、レギュラーとサブの18名が本当の意味で一体になるためには、勝利しかない。ナイジェリア戦での勝利が最優先なことは間違いないが、サブ組のフォローは怠ってはならない。