球道雑記BACK NUMBER
伊東、里崎も獲得していない月間MVP。
ロッテ田村、4年目の急成長の秘密。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/07/27 07:00
規定打席に達した打撃だけでなく、田村は安定したディフェンス面でも扇の要としてチームを支えている。
「結果が出ているのは福浦さんとの練習がすべて」
「今、結果が出ているのはそれがすべてと言ってもいいくらいです。たとえば、どんなことでも福浦さんは妥協しないんでね。あと継続力や、バッティングの考え方だとか、打席の入り方だとか、ボールの呼び込み方とか、配球のよみ方とかですね。色んなものを吸収しました。今、打てているのはもちろん監督やコーチのおかげもあるんですけど、でも、自主トレ期間に福浦さんと毎日のように野球の話をしたおかげでもあるんです」
田村は今季、福浦を真似てオープンスタンスに変えた。顔は投手と正対するように正面を向き、両目でボールを見る感じも福浦そのままだ。
さらにタイミングの取り方、上半身や下半身の使い方と何から何まで、福浦の考え方、動き方を完全コピーした。
「一言で言ってしまえば福浦さんの真似をしているんですよ」
田村は笑みをこぼしながらそう話した。
もちろん一流選手の真似をして結果が出るほどプロの世界は甘くない。
「去年よりはだいぶ落ち着きが出てきたのかな」
このオフ、田村は年末年始も返上してQVCマリンに通いづめて、一人でも気にせず汗を流した。こうした土台作りをしっかりしてきたからこそ、夏場を迎えさらに調子を上げている今がある。
「去年よりはだいぶ落ち着きが出てきたのかなと自分でも思うし、そこでちょっと余裕もでてきたかなって思います。もちろん慣れてきたから緊張しないという余裕ではなくて、自分がだいぶ周りを見れるようになってきたのかなという部分です。去年までは守備のことで精一杯だったんですけど、今は守備が終わったら、次はバッティング、バッティングが終わったら、次は守備と切り替えができるようになった。それが大きいかなと思います」
切り替えという意味では、昨年からコンビを組み続けているエース・涌井秀章の影響も大きい。試合中のメリハリや勝負どころを見極めるゲーム観、練習態度、精神面……。田村は涌井のボールを受けながら、それを肌で感じ、自身の成長にも繋げている。